マンション羅針盤#7Photo:PIXTA

長らくブラックボックスだったマンションの管理状態を可視化する制度が3つ誕生し、普及が進んでいる。だが、運用が進むにつれさまざまな制度の欠陥も明らかになっている。管理組合はこの制度をどう活用するべきか。連載『マンション羅針盤』の第7回では、これらの制度に詳しいマンション管理士の應田治彦(はるぶー)氏が、その制度の詳細とマンション管理組合向けの活用方法を指南する。(マンション管理士 應田治彦)

3つの制度でマンション管理の質が見える時代が到来
同時に見えてきた制度の「明と暗」

「マンションは管理を買え」という格言にある通り、マンション購入者にとって、管理組合の財政基盤や修繕計画の信頼性は、資産価値を守る命綱といえる。だが、その肝心の管理状態については、外部からは見えない状態が長く続いていた。それが可視化される制度がここのところ立て続けに誕生し、普及が進んでいる。

 国土交通省主導の「マンション管理計画認定制度(以下、認定制度)」、業界団体であるマンション管理業協会による「マンション管理適正評価制度(以下、評価制度)」、そして日本マンション管理士会連合会が提供する「マンション管理適正化診断サービス(以下、診断サービス)」という3つの格付けシステムのことだ。

 これらはマンションの管理体制を点数や認定で表す「健康診断書」のような役割を果たすものだ。診断サービスの得点は最近LIFULL HOME’Sでの公開が開始され、評価制度はSUUMOでの点数公開が始まるなど、大手不動産仲介サイトの物件情報に添付される形で掲載されるようになっている。

 3つの制度は、マンションの管理状態を可視化するという、マンション管理関係者が長年待望してきた「光」をもたらしたことは間違いない。その一方で、運用が進むにつれてさまざまな制度の「影」も明らかになった。次ページでは、3つの制度、それぞれの光と影を深掘りしていく。

 あるタイプのマンションでは現実性がない計画でも高い評価が与えられる一方、別のタイプのマンションにとっては管理組合の瑕疵がなくとも最初からハードルが高いという欠陥があるのだ。何より管理契約を委託しているマンション管理会社の姿勢によって、そもそも制度に参加することすら難しくなる。その実態を、管理戸数ランキング上位20社を対象とした図版でも明らかにした。こうした実態を踏まえて、管理組合が具体的に取るべき方策についても触れていこう。