マンション羅針盤 管理&売買#34Photo:PIXTA

不動産販売サイトで格安を売りに販売されている旧耐震マンション。専有部にリノベーションを行い一見きれいでも、何も検討せずに買うのは要注意だ。連載『マンション羅針盤』の第34回では、旧耐震マンションの深い闇とリスクそして対応法を、高経年マンションの実態に詳しいマンション管理士が解説した。(マンション管理士 澤田 亮)

リノベできれいに見えても要注意!旧耐震マンション
直されずに放置されがちな二つの設備とは?

 日本の高度経済成長期を支え、今なお多くの人々が暮らす旧耐震マンション(1981年5月31日までに建築確認申請が承認された建物に適用されていた建築基準に基づき建てられたマンション)。これらのマンションは、立地の良さや手頃な価格から中古市場でも一定の需要を保ち続けています。しかし、その裏側で「命に関わる深刻な事態」が静かに進行していることをご存じでしょうか。マンション管理士として多くの現場を見てきた中で、私が特に危惧しているのがこうした旧耐震マンションで「命を守る設備」の修繕が放置されているケースが多いことです。

 本来であれば、居住者の生命や安全を守るための設備こそ、最優先でメンテナンスされるべきです。しかし、驚くほど多くの高経年マンションでこれらの設備が機能不全のまま放置されている現実があるのです。そこには「今まで事故が起きなかったのだから、これからも大丈夫だろう」という正常性バイアスが働いているようにも思えます。

 旧耐震マンションで特に放置されやすく、かつリスクの極めて高いのは「連結送水管」と「鉄骨階段」の二つの設備です。本稿ではこの二つの設備に焦点を当て、マンションが陥る管理不全の構造的な問題と、その先に待ち受ける恐ろしい負の連鎖について解説します。現在旧耐震マンションにお住まいの方のみならず、目先の価格の安さを魅力に感じて、これから旧耐震マンションを購入しようとお考えの方にも、ぜひとも認識していただきたいことを詳細にまとめました。それでは見ていきましょう。