西興部西興部村の国道に残されたヒグマの足跡

クマ対策のプロ育成は
容易ではない

 2025年度には全国でクマによる人的被害者は238人で、うち13人が命を落とすという深刻な状況となった。こうした事態を受け、11月14日に政府は「クマ被害対策パッケージ」を閣議決定した。その柱の一つとして打ち出されたのが、「ガバメントハンター」の創設である。

 もっとも、ガバメントハンターは新たに作られた呼称であり、その定義は必ずしも明確ではない。政府が示したクマ被害対策支援メニューでは、指定管理鳥獣対策事業交付金の対象者について、「狩猟免許を所持しているまたは所持する見込みがあるとして、都道府県知事もしくは市町村長が認める者」と規定するにとどまっている。

 だが狩猟免許を所持していても、クマ猟に対応できるわけではない。鹿の狩猟と比べても、クマへの対応にはまったく異なる知識や経験が求められる。

 渡部さんも、酪農学園大学で狩猟鳥獣の生態と管理を学び、農協に勤めるかたわらで罠(わな)猟の経験を積んだ後に西興部村へ移住した。その後も地元猟師から指導を受けながら、7年かけて技術を磨いてきた。このような丁寧な育成を経ないまま、ガバメントハンターとしてクマと対峙することは容易ではないだろう。

西興部渡部志乃さん