比例縮尺図に落とし込むことで
決算書の全体像を視覚的に読み解ける
決算書を読み解く際には、まず全体像を把握し、そこから分かることや疑問点を整理することが重要だ。その際に役立つのが、金額と比例した面積を各科目に割り当てた「比例縮尺図」である。
次に、実際の決算書を、金額の大きい科目に注目して見ていく。金額の小さな科目は、多くの場合重要性が低いため、後回しにしても構わない。また決算書を読む際には、数字だけでなく、その背後にあるビジネスの実態と結びつけて考えることも欠かせない。
まずは、比例縮尺図から任天堂の貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の特徴を捉え、その後に各科目の中身を確認していこう。
任天堂はなぜ1.8兆円もの現金を持つのか
ヒット頼みの業界で生き残る戦略
次の図は、任天堂の26年3月期のB/SとP/Lを比例縮尺図に落とし込んだものだ(P/Lについては営業利益までを図示している)。
筆者作成 拡大画像表示
B/Sの左側(資産サイド)で最大の金額を占めているのは流動資産(約3兆100億円)だ。
任天堂は主に家庭用ゲーム機の製造・販売を行うメーカーなので、ゲーム機などの在庫が棚卸資産としてここに計上されているはずだ。また、任天堂の販売先は卸や小売店であることを踏まえると、受取手形や売掛金といった売上債権も計上されていると想定できる。
一方で、通常のメーカーであれば、製品を作る工場が必要となるために有形固定資産が多く保有されているはずだが、任天堂の有形固定資産は約1270億円しか計上されていない。
これは、任天堂が製造を外部に委託する「ファブレス企業」であるためだ。任天堂にはゲーム機の開発、修理、品質管理や花札などの製造を行う工場はあるものの、自社の量産工場は保有していない。







