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2026年6月5日に資源エネルギー庁は、原子力発電所の将来的な建て替えの目標を公表した。しかし、目標設定のための前提条件には幾つかの疑問が残る上、原子炉建て替えの前に立ちはだかる最大の問題は棚上げになっている。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、資源エネルギー庁の方針を徹底解説する。(国際大学学長 橘川武郎)
エネ庁の前提条件への疑問符
「総発電電力量の2割が原発から供給」は現実的か
2026年6月5日に開催された総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会の会合で、事務局を務める資源エネルギー庁は、原子力発電所の将来的な建て替えに関する数値目標を示した。本稿では、この数値目標の実現可能性について検証する。
下図は、資源エネルギー庁が数値目標を提示する際に、その根拠として掲げたものである。
この図から分かるように、資源エネルギー庁は、以下の前提を置いている。
・総発電電力量の2割が原発によって供給される。
・運転開始から60年を経た原子炉は設備容量に含めない。
・建設中の3基(J-POWER(正式名称:電源開発)・大間原発、東京電力ホールディングス・東通原発、中国電力・島根原発3号機)は設備容量に含める。
その上で、現在約9400億kWh(23年度)である総発電電力量が1兆1000億kWhになる場合(ケース1)と、1兆2000億kWhになる場合(ケース2)の2通りを想定している。
ケース1では40年に約220万kW、50年に約1270万kW、ケース2では40年に約550万kW、50年に約1600万kWの原発の設備容量不足が生じると見通す。そこから、設備容量120万kWの大型炉が設備利用率70%で稼働するとして、40年代には約2~5基、50年代には約11~14基の建て替えが必要になると、結論づけるのである。
このような資源エネルギー庁の立論に対しては、その前提に関して、幾つかの疑問を提示せざるを得ない。
第一に、「総発電電力量の2割が原発によって供給される」という前提は、現実的なのだろうか。
21年に策定された第6次エネルギー基本計画は、30年度の電源構成に占める原発の比率を20~22%と見通したが、そのためには、27基の原子炉が設備利用率80%で稼働する必要がある。
しかし、現実を直視すると、30年度が4年後に迫った26年6月末時点で稼働している原子炉は15基にとどまっており、さらには図にあるように、資源エネルギー庁自身が、将来の原発の設備利用率を70%と見込んでいる。実際には、30年度に稼働している原子炉は多くて二十基程度にとどまり、原発の比率は最大でも15%がせいぜいであろう。
一方、25年策定の第7次エネルギー基本計画は、40年度の電源構成に占める原発の比率を20%と見通したが、そのためには、現存する36基(建設中の3基を含む)の原子炉の大半が稼働している必要がある。それは相当に高いハードルである。そして、20年以上の歳月がかかる原子炉の建て替えは、40年には間に合わないことも見落としてはならない。
これらの事情を考慮に入れると、30年度にも40年度にも、「総発電電力量の2割が原発によって供給される」という状況が現出するとは考えにくいのである。
第二に、「運転開始から60年を経た原子炉は設備容量に含めない」という建前は守られるのだろうか。
このままでは「机上の空論」というしかない。そこで次ページでは、目標達成を阻むハードルと原発建て替えを困難にする最大の問題を解説する。








