Photo:Takashi Aoyama/gettyimages
慢性的な経営不振に陥っている東京電力ホールディングスが望みを託すアライアンスに、外資ファンドが名乗りを上げている。外資系企業の参入は外為法と業法で規制するのが定石だが、電気事業法には欠陥がある。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、現行法の不備と共に外資ファンドとのアライアンスの落としどころを予測する。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)
アライアンス候補に外資ファンド
「外為法があるから困難」は本当か
「柏崎刈羽原子力発電所が再稼働に至ったとしても、福島事業・経済事業の双方に取り組んでいくために盤石の財務基盤が整備されたと評価することは難しい状況にある」。東京電力ホールディングス(HD)が2026年1月に公表した第5次総合特別事業計画(5次総特)の一文だ。
実際、東電HDは同年4月に新潟県の柏崎刈羽原子力発電所6号機の営業運転を再開したものの、経営は依然として厳しい。
福島第1原発事故の賠償と廃炉、除染費用の総額は23兆4000億円と見込まれ、東電HDは17兆円程度を負担することになっている。小売りを担っている東京電力エナジーパートナー(EP)は、16年の電力小売り全面自由化で新電力に顧客が流出し続けており、27年3月期第1四半期決算でも東電EPの売上高は前年比で5.4%減少。東電HDは18年度以降、一貫してフリーキャッシュフローがマイナスとなっている。
資金捻出のため東電HDは5次総特で25~34年度に累計約3兆1000億円のコスト削減を計画。3年以内に約2000億円の資産を売却するとしている。
ただ、コストカットによる費用の捻出だけでは廃炉スキームの完遂はできない。除染にかかる4兆円の費用は全額東電HDの負担となるが、そのスキームは原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有する東電HDの株式売却益を充てるというものだ。原賠機構の保有率は54.75%のため4兆円の売却益を得るためには7兆5000億円程度の時価総額が必要だが、26年8月時点では8000億円台で推移している。
企業価値向上のため抜本的な構造転換が必要な東電HDが熱望し続けているのが、中部電力と折半出資し設立したJERA以来となるアライアンスの成立だ。候補企業にはソフトバンクや日本産業パートナーズのほか、米ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)やブラックロック、ブラックストーンも名を連ねている。
外国為替および外国貿易法(外為法)では、安全保障に関わる事業を「指定業種」とし、その中でも特に重要な事業を「コア業種」に定めて海外投資家が1%以上の株式を取得する際に原則として事前の届け出が必要となっている。
電力事業では、原発事業や送配電事業などがコア業種の対象となっており、東電HDだけでなく、東電EP、再生可能エネルギー事業の東京電力リニューアブルパワー(RP)と送配電事業の東京電力パワーグリッド(PG)もコア業種の対象だ。
こうした要素から「外為法があるため外資ファンドとのアライアンスの可能性は低いだろう」と予想する業界関係者もいる。ただ、必ずしも現行法で外資ファンドを制限できるとはいえない。
次ページでは、外資ファンドを制限できない法的な背景と、東電HDが採り得る現実的なアライアンスの落としどころを詳しく解説する。







