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政府公募の洋上風力事業の電力供給価格に大きな影響を与える「調達価格等算定委員会」が7月14日に開催される。建設資材や調達コストの高騰を背景に外資系大手の撤退や事業見直しが相次ぐ中、プロジェクトの「撤退ドミノ」を防ぎ事業を完遂できる環境を整備できるか。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、外資撤退の真の要因と共に、今回の委員会で最大の焦点となる上限価格の引き上げや長期脱炭素電源オークション(LTDA)適用を巡る議論を徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)
激変する洋上風力開発の現状
資材高騰と外資系企業の相次ぐ撤退
政府公募の洋上風力事業を巡っては、2025年8月に三菱商事が第1ラウンドで落札した千葉県と秋田県沖3海域の全てから撤退を表明したことで事業環境の厳しさが一気に表面化した。
以降の洋上風力事業は、コスト増への対策と想定外のハプニングが交互に発生している。三菱商事の撤退後、資源エネルギー庁は撤退ドミノを防ぐため、公募制度の見直しを実施した。
これまでの事業者選定では、供給価格(円/kWh)と事業実現性をそれぞれ120点満点で審査してきた。事業実現性については、迅速性、事業計画、電力安定供給など8項目に分かれており、新制度では配点が20点だった迅速性の配点を10点に半減させた。
これは、国内サプライチェーンの構築が不十分な中で運転開始時期の早さを求めると、事業実現性の乏しい事業計画での入札を招き、結果として事業完遂を阻むためだ。この10点分を事業計画と電力安定供給の項目に回し、それぞれ20点から25点に割り増しした。電力安定供給の項目にはサプライチェーン形成も新たに追加された。
また、最大の失敗点とされたのが、供給価格の値下げ競争をあおる価格点の設定だった。従来の入札では供給価格を低く設定した事業者ほど採点が高くなる仕組みとなり、採算を無視した値下げ競争に陥ってしまった。
そのため、新たに「事業完遂のために必要と考えられる水準を前提とした上で、事業者が現実的な創意工夫を講じることを想定した」という「想定供給価格幅」を設定。入札上限価格からその価格に近づくにつれて点数が高まり、想定供給価格以下は満点となる制度に変更された。さらに、特定条件下では供給価格よりも事業実現性が優先されるような整備案をまとめている。
複数の関係者によると、このように制度を再整備した上で第1ラウンドの再公募を26年夏にも実施すると見込まれていた。だが、ここで一つ目の想定外が発生する。中東情勢の緊迫化とホルムズ海峡封鎖だ。原油とナフサ不足により風力発電に必要な潤滑油が不足する可能性が出たことで事業環境の先行きが不透明となったことも追い打ちとなり、再公募は秋以降にずれ込む見込みとなっている。
二つ目のハプニングが外資系企業の相次ぐ撤退だ。26年6月にノルウェーのエクイノールが年内に東京事務所を閉鎖すると発表した。同社は政府公募案件の海域を落札していないため直接的影響はない。ただ、次いで英石油メジャーであるBPの撤退可能性が報じられた。同社は第3ラウンドで丸紅、関西電力、東京ガスなどとコンソーシアムを組み、山形県遊佐町沖を落札していた。
なぜこれほどまでに撤退ドミノが続くのか。次ページでは、BP撤退の裏にある複雑な事業統合の背景と、市場の存続を懸けて間もなく開催される委員会の「最大の争点」を明らかにする。







