エネルギー動乱写真:朝日新聞社/時事通信フォト

基準地震動のデータ不正が明らかになった中部電力が夏にも第三者委員会の調査報告書を公表する。この公表とともに経営陣の退任が見込まれていたが、ここへきて会長と社長の続投説が浮上している。株主の厳しい視線が注がれる中、なぜ異例の続投シナリオがささやかれるのか。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では調査報告書公表の「Xデー」を前に、続投説を補強する根拠と、陰で取り沙汰される次期社長候補の実名を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)

再任賛成率は5~6割台に急降下
調査報告書の公表が役員人事のXデー

「原子力事業の根幹を揺るがすと深刻に受け止めています。原子力事業者としての適格性を疑われるものであると痛切に感じています」。2026年6月、名古屋市内で行われた中部電力の株主総会で社長の林欣吾氏は浜岡原子力発電所3、4号機の基準地震動のデータ不正について陳謝した。

 同年1月の不祥事公表後、初となる株主総会は経営陣への厳しいまなざしが数字になって表れた。中部電が示した取締役再任案に対して、会長の勝野哲氏の再任賛成率は56.3%、林氏の再任賛成率は61.1%まで落ち込み、まさに薄氷の上を渡る再任劇となった。

 中部電の取締役再任賛成率はジェットコースターのような乱高下が続いている。25年は両者とも9割を超えた一方で、関西電力などとの間で結ばれた電力・ガス販売のカルテル問題が発覚した後に行われた23年の株主総会では勝野氏への再任賛成が69.7%、林氏への再任賛成が71.5%に落ち込んでいた。ただ、中でも今年は谷底まで落ちたといえよう。

 基盤がぐらつきながらも株主総会を乗り越えた中部電を次に待ち受けているのが、基準地震動のデータ不正の調査を目的に立ち上げられた第三者委員会の調査報告書だ。

 第三者委が立ち上げられてから既に半年が経過しており、報告書は株主総会終了後に公表するべく調整が進められている。中部電は3月に、先んじて原子力規制委員会の報告徴収に対して報告書を提出しているが、第三者委の事実認定が責任の所在を確定することとなる。

 つまり調査報告書の公表が、役員人事の「Xデー」になり得るということだ。前代未聞の不祥事だけに会長、社長交代は確実と思われていたが、続投説もいまだに消えず漂っている。次ページでは、続投説の根拠と次期社長候補を予測する。