バス運転手の不足で
鉄道の輸送力に期待

 それだけ選択肢があれば、わざわざ新幹線を選ぶ必要はないと思うかもしれないが、バス業界を取り巻く環境は厳しい。統計が存在しないため厳密な比較は困難だが、高速バス・夜行バスが発着するバスタ新宿の利用状況から実情を見ていこう。

 国土交通省が発表する「バスタ新宿利用状況」によると、2017~2019年の平均値に対する利用者数は、コロナ禍直後は利用者数が3%、発着便数が15%まで低下した。各社は発着便数を50~60%の水準まで減便したが、利用者数が50%を超えるのは2021年末まで待たねばならなかった。

 2023年7月に初めて利用者数(81%)が発着便数(78%)を上回ったが、発着便数はその後も80~85%程度で推移している。一方、利用者数は85~90%、瞬間的には100%を超えており、2024年秋以降は供給不足が常態化している。

 背景にあるのは深刻な運転手不足だ。警視庁の運転免許統計によれば、大型二種免許保有者のうち65歳以上の割合は、2001年末の37%から2025年末には47%に上昇している。バス運転手は労働時間が長く、給料は安いため若者が参入しない。一方、拘束時間や時間外労働の規制が強化され、人手は不足する。持続不可能な業界と言わざるを得ない。

 バスタ新宿の統計は夜行以外も含めた数字であることに留意が必要だが、むしろ運転手不足は夜行バスから顕在化しており、より影響が大きいと考えられる。少なくとも言えるのは、宿泊費高騰で夜行需要が増加しても、それに対応する夜行バスの増便は不可能ということだ。そして、宿泊費高騰もインバウンド需要などの高まりで、当面、沈静化しないだろう。

 そこで鉄道である。鉄道の輸送力は桁違いだ。夜行バスの定員は4列シートで最大50人、3列シートで30人前後にすぎない。新幹線16両編成の定員は約1300人、ルミエールエクスプレスは窓側の席のみを販売するため、最大でも約500人だが、バス10台分以上の輸送力を持つ。