JR東海だけじゃない
各社の「夜行」の取り組み
「夜行」の可能性に着目するのはJR東海だけではない。近畿日本鉄道はツアー形式の貸し切り列車として、大阪難波駅0時1分発・名古屋駅7時2分着、また、名古屋駅23時32分発・大阪難波駅6時16分着の夜行特急「ミッドナイトひのとり」を運行している。今年は7月19日、8月15日、9月21日、10月11日、11月21日と、1カ月に1本のペースで運行予定だ。
こちらも途中の名張駅で約4時間停車し、仮眠時間とする。「ひのとり」は全席バックシェル、フットレスト付きのハイグレードな車両だ。しかも出発時には、名張駅前の老舗「賛急屋」の「伊賀牛しぐれ煮弁当」が提供されるサービス付きだ。
2025年の大阪・関西万博をきっかけに誕生した列車だが、好評につき閉会後も継続して運行している。パンフレットのうたい文句は「テーマパークやライブ、イベントからのお帰りに… 目的地での時間を早朝から有効活用したい時に… ゆったりシートでラクラク移動!」だ。
JR西日本の「WEST EXPRESS銀河」や、JR東日本が来年春に運行を開始する「ルナ・アズール」など、夜行列車が注目されつつある。「夜」という特別な体験を提供する観光列車の発展も楽しみだが、JR東海や近鉄の取り組みは視点が異なる。
もうひとつの気になるニュースが、JR西日本が6月22日に発表した山陽新幹線の「夜行ツアー」だ。これは来年完全引退する「500系」を一晩中体験できるイベント列車として、新大阪を7月31日22時15分に出発し、途中駅で24時から6時まで停車。博多駅に翌日7時50分に到着する。
奇しくもルミエールエクスプレスと同日に発表されたこともあり、JR東海のようなさらなる展開があるのか気になるところだが、同社に聞くと、あくまでも1本限りの引退記念イベントとのこと。
新大阪~博多間の所要時間は東京~新大阪間と同等だが、上り始発「のぞみ4号」は博多駅6時36分発・新大阪駅9時4分発で、やろうと思えば発車時刻を30分以上繰り上げる余裕がある。早朝の移動需要自体がそこまでないということなのだろう。
「ルミエール」とはフランス語で「光」を意味する。JR東海は「朝の光と新しい一日の始まりをイメージした」として「ひかり」との関連性は否定するが、既に商標登録を出願していることからも同社の本気がうかがえる。発売状況や利用者の声、運用上の課題を総合的に検証し、今後の展開を検討するとしているが、これ1本で終わらせるつもりはなさそうだ。厳密な意味での「夜行」ではないが、夜行列車の本質を追い求めるJR東海、近鉄の取り組みには注目したい。







