
東海道新幹線は個室や半個室タイプの座席を導入する。昨今はビジネスホテルの価格も高騰し、出張経費はかさみがちだ。はたしてJR東海の戦略は成功するのだろうか。(ライター 前林広樹)
東海道新幹線で
個室・半個室席を導入へ
JR東海は3月19日、東海道新幹線の一部列車に半個室タイプの座席を導入すると発表した。N700S系の一部の10号車に、鍵付き扉でプライバシーを確保した座席を6席導入する。
前後の座席の間に壁はないが、大型バックシェルタイプの座席を採用したことでプライベート感を確保する。レッグレスト付きのリクライニングシートで、専用のWi-Fi環境や荷物スペースも整備。移動しながらオンライン会議も行えるし、休息するにもぴったりな空間だ。
基本的には1人用だが、座席を転換することで対面での利用も可能で、夫婦旅行などにもいいだろう。サービス開始は2027年度中を予定している。気になる価格は今後、発表するという。
実は、JR東海はすでに個室を導入する(26年秋)と発表している。こちらは完全に周囲と遮断された部屋で、上質なリクライニングシートを中心とした特別仕様席だ。

新幹線の個室は、かつて存在した100系新幹線の2階建て車両以来、およそ四半世紀ぶりの復活となる。半個室・個室とも、グリーン車よりもさらに上級席の位置付けだ。
ところで、新幹線のグリーン車より上級席といえば、JR東日本が新幹線で設けている「グランクラス」がある。しかしそのグランクラス、近年はあまり芳しい状況とは言えない。なぜなのか。