5月の取締役会での激しい言い争いのあと、西田会長と佐々木社長の関係は、みるみる悪化していった。西田会長は、「あいつは駄目だ。必ず来年は引きずり下ろす」と言うようになり、一方、佐々木社長のチャレンジは、西田氏の社長時代の業績より大幅に改善させた実績を示して指名委員会に社長の任期続投を承認させるため、どんどんエスカレートしていった。

「歴代社長ランキング表」の作成

 佐々木則夫社長は、西田厚聰会長との仲違いが進む中で、自分の成果をアピールするために、財務部の担当者に直接電話して「歴代社長ランキング表」を作成し始めた(2012年10月22日財務部作成の「東芝連結業績推移(1976年~2011年)」)。通期の見込みが提出されるたびに作成し、自分のランクが少しでもよく見えるように構造改革や資産売却損益を控除させたりした。

佐々木則夫社長による歴代社長のランキング表「佐々木則夫社長による歴代社長のランキング表」(書籍『東芝――転落の深層』195ページより引用)

 

「東芝連結業績推移(1976年~2011年)」「東芝連結業績推移(1976年~2011年)」(書籍『東芝――転落の深層』194ページより引用)

 こうして営業利益と純利益で過去の社長中で1番であること、さらに売上高で為替影響を考慮すると売上高で負けていた西田氏と逆転する表を作らせ、これを相談役の西室泰三氏や指名委員会の社外取締役等に見せ、自分は西田氏より大きく業績に貢献していることをアピールしていたようである。西田氏と佐々木氏の仲違いは、東芝という大企業の会長・社長にもかかわらず、まるで「子供の喧嘩」であった。