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ソニーグループは、半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)とCMOSイメージセンサーの提携協議に入った。最大の狙いである設備投資の削減をどう実現しようとしているのか。その具体策が、ダイヤモンド編集部の取材で見えてきた。一方、TSMCとの提携は、単なる投資効率の向上策ではなく、ソニーの半導体戦略そのものの転換になりそうだ。『ソニー 新・神話の真贋』の#9では、自社工場での生産を強みとしてきたソニーの半導体事業が、製造の一部をTSMCに委ねる「工場軽量化(ファブライト)」へと舵を切る戦略の勝機と課題を追う。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
ソニー半導体はTSMC提携で大転換へ
投資削減にとどまらない戦略的狙いとは?
ソニーグループは、東芝が東芝メモリ(現キオクシア)をスピンオフしたように、半導体事業を切り離すべきではないか――。
株式市場では、半導体子会社ソニーセミコンダクタソリューションズ(ソニーセミコン)の分離・独立を巡る議論が熱を帯びていた。だが、今年5月にソニーグループがTSMCとの提携方針を打ち出したことで、そうした観測はいったん後退したようだ。
ソニーの半導体事業は、米アップルのiPhone向けを中心にCMOSイメージセンサー事業を展開。世界シェアで首位を維持してきた。しかし、その地位を保つには、年間2000億円規模の設備投資が必要で、グループ全体の財務を圧迫してきた。
ソニーグループの十時裕樹社長は「設備投資負担を抑えながら収益性を上げていくには、さまざまな工夫が必要だ」と述べてきたが、今回のTSMCとの提携については「ファブライト戦略の第一歩になる」との認識を示した。
これまでソニーは、設計・開発から自社工場で製造までを担う垂直統合モデルを強みとしてきた。しかし、今後は生産の一部をTSMCに委託する「ファブライト化」を目指していく方針だ。
ソニーとTSMCは合弁会社を設立し、熊本県合志市にソニーセミコンが建設したばかりの新工場に、共同開発ラインや生産ラインを整備することを検討する。
現時点で明らかになっているのは、合弁会社の株式の過半数をソニーが保有する方向であることだけだ。提携の詳細は明かされていない。
TSMCは、米国や日本、ドイツの工場ではTSMCが全額、または圧倒的多数を出資し、自らが主体となって運営する体制を取っている。合弁会社に少数出資で参画し、共同生産体制を構築するケースは極めて珍しい。両社の提携は、単なる投資効率化にとどまらない戦略的な狙いがありそうだ。
次ページでは、ソニーの半導体事業がTSMCとの提携を通じて転換する構造を解明し、十時社長が追い求めるファブライト戦略の勝機と課題に迫っていく。







