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ソニーグループは自由闊達な社風で知られている。エレクトロニクスからエンターテインメントに主軸を移す構造改革を推し進め、会社の形が大きく変わった中、社風はどのように変化したのだろうか。特集『ソニー 新・神話の真贋』の#8では、企業の与信管理を支援するベンチャー企業が集めた口コミデータを基に、構造改革のしわ寄せの実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
「自由で先進的」な日系企業の代表格だが
足元で不満投稿が急増しているのはなぜ?
戦後に創業したベンチャー企業をルーツに持つソニーグループは、「自由で先進的」な社風を、日系企業の中でいち早く打ち出してきた。
創業者である井深大氏は設立趣意書で「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」と掲げている。
その理念は、社風や人材活用にも浸透してきた。既成概念や上下関係に縛られず、「とがった個」を許容し、新しい製品やサービスを生み出すためにフラットな議論を行う――。そういったソニーグループの美風は、長らく日系企業の中で羨望や憧憬の対象だった。
だが、ソニーグループのビジネスの中身は、脱・製造業やエンタメ企業化を進めた出井伸之氏から現在社長CEO(最高経営責任者)を務める十時裕樹氏までの7人の経営トップによる事業構造改革によって激変した(詳細は本特集の#1『【ソニー】井深・盛田カリスマ経営、エレキ黄金時代に続いて生まれた「第3の神話」の虚実…EV・ロボット撤退、テレビ事業分離でいよいよ問われる十時社長の才覚』参照)。稼ぎ頭は、テレビをはじめとしたエレクトロニクスからエンターテインメント事業へと変わり、2025年度の営業利益、1兆4475億円の7割超をゲーム、音楽、映画で稼ぎ出すようになったのだ。
では、ビジネスの変容とともに、社風も変わったのだろうか。ダイヤモンド編集部は企業の与信管理を支援するベンチャー企業が集めた口コミデータを基に、働き方や待遇、職場環境に関する社員の不満投稿を徹底分析した。すると、世間のイメージとは少し異なる実態が浮かび上がってきた。
口コミの分析では、19年1月から26年6月までの7年半にわたる、日立製作所、パナソニック ホールディングス(HD)、ソニーグループの電機大手3グループの社員によるネガティブなインターネット上の投稿などを調べた。その結果、ソニーグループにおける社員の不満投稿数は、競合2グループの半分以下にとどまっていた。同期間における不満投稿の累計件数は、日立が782件、パナソニックHDが544件だったのに対し、ソニーグループは全体でわずか186件にとどまっている。この数字だけを見れば、ソニーは不満の少ないホワイト企業に見えるかもしれない。
だが、期間ごとの推移を年平均化してフェーズ別に比較すると不穏な変化があることが分かる。
日立とパナソニックHDに比べて足元の不満投稿の増え方が顕著なのである。1年当たりの不満投稿数が22~23年から24~26年でどう変化したのかを見ると、日立は1.1倍、パナソニックは1.7倍だったのに対してソニーは2.9倍と急増している。
急増する不満の震源地は、ソニーグループのどの会社なのだろうか。次ページでは、不満投稿の内訳を持ち株会社や事業会社ごとに分解し、ソニーグループが進めてきた構造改革のひずみに迫る。








