ダイヤモンド編集部の取材により、熊本県での台湾TSMC第二工場の主要顧客と生産される中身の見通しが判明した。すでに同じ熊本県にあるTSMCの第一工場は、ソニーグループ向けの製造で埋まる見通しだ。ソニーの半導体イメージセンサー事業は米アップル向けの出荷が増え続けていて、それを第一工場が支えることになる。2027年に稼働予定の第2工場では、TSMCとソニーはどう動き、アップルにはどのような影響があるのか。特集『高成長&高年収! 半導体160社図鑑』の#10は、その複雑な関係構図を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
スマホ低迷でもイメージセンサーは拡大
TSMC第1工場はソニー向けに生産開始へ
ソニーグループの半導体イメージセンサーの販売が拡大を続けている。
世界のスマートフォンの出荷台数は、“コロナ特需”が発生した2021年の反動で2年連続の減少だったが、ソニーのイメージセンサーの売上高は、21年から3年間連続で過去最高を更新し、好調な出荷が続く。
こうした中で、ソニーが重視しているのは、ロジックチップの安定確保だ。ソニーの半導体製品のイメージセンサーは、米アップル向けの出荷が増え続けていて、それに応える必要があるからだ。
ソニーのイメージセンサーは、同社が生産する画素チップに、外部から調達するロジックチップを重ね合わせた「積層型」の構造で、その多くをTSMCから調達している。
TSMCが日本に進出した直接の狙いは、ソニーの大口需要に応じることにある。24年末に稼働する予定の第1工場の生産能力は、ソニー向けのロジックチップの受託で一杯になる見通しだ。
そして、27年末からTSMCの第2工場が稼働予定だ。ダイヤモンド編集部の取材により、この第二工場の概要が判明。TSMCの思惑はどのようなもので、ソニーとアップルの関係はどのように影響するのだろうか。生産量や生産ラインの能力なども併せ、次ページで、詳述していく。