Photo by Masato Kato
日本の企業の9割以上が中小企業に分類されるように、税理士業界も、税理士が1人にスタッフが数人の小規模事務所が全体の約9割を占めている。そんな中で、ミカタグループは中小の税理士事務所を買収し、規模の拡大を続けている。同グループはどのような税理士事務所に狙いを定めているのか。特集『税理士リバイバル!』の#6では、総代表の柴田昇氏に、推し進めてきたM&A戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
プロ野球選手より稼げる⁉
若者よ、税理士業界を目指せ
ーーミカタグループは2007年ごろから中小規模の税理士法人をM&Aすることによって、規模を拡大しています。足元で進めている買収案件の性質や数は変化していますか。
01年の税理士法改正(02年に施行)によって、法人同士の合併や支店の開設ができるようになりました。07年ごろはまだ黎明期で、案件がほとんどありませんでした。今は毎週、5件ほどのペースで新規の案件が入ってきます。
事務所を売却したいという方の事情も変わってきています。業界自体が高齢化していて、後継者が不在の先生が売却を検討されていることに加え、新型コロナウイルス禍の後からは、人手不足による売却が増えました。
ーー人手不足というのは、地方で急速に人口減少が進んでいることもあり、募集をかけても応募者が集まらないということですか?
それは少し違って、人材がいないわけではない。私たちが経営を引き継ぐと採用できますから。ではなぜ、人手不足に陥っているか。それは、税理士法人が誤解されているのです。税理士資格がないと入れないとか、AI(人工知能)で淘汰されていく職業であるとか。だから、なかなか人が集まらない。
10~20年後を考えると、地方の30人以下の中規模の事務所は、大きな事務所と統合したいと考えるのです。比較的大きな50人規模の事務所でも、後継者不在に陥る不安はあると聞きます。コロナ禍前は引退を控えた先生から引き継ぐケースが多かったのですが、今はトップが40代、50代の事務所を統合することも増えています。
ーー記帳代行など、手を動かすことの多い会計業務では、AIで生産性を向上することができます。テクノロジーの導入でも、グループに入るメリットがありそうです。
そうですね。やはり、ある程度の規模にならないと、デジタル領域やマーケティングの専門スタッフを置くことは難しい。AIで税理士の仕事は淘汰されるといわれてきましたが、逆に仕事を効率化することによって、業容も拡大しています。
一つ一つの業務の単価も高くなってきていて、社員の給料も上がっています。みんなとは言いませんけど、トップの報酬も上がっていると思います。
ーー学生が進路を選ぶ際に、トップの報酬というのは、ある種の“夢”で重要ですよね。
メジャーリーグ挑戦前の村上宗隆選手が、東京ヤクルトスワローズと契約した年俸が推定で6億円と言われています。税理士法人のトップで、それ以上の稼ぎがある人は少なくありません。税理士法人のトップは70代でも続けることができますから、生涯での稼ぎで考えると、プロ野球選手以上になるかもしれない。若者や学生には、「税理士業界は稼げるし、面白い」という、本当の姿を知って飛び込んできてほしいです。
ーー税理士法人のM&Aでは、上場企業のように株価から買収金額をはじき出すことができません。金額をどのように算出するのでしょうか。時代によって違いはありますか。
ミカタは今後もM&Aによる規模の拡大を継続する戦略だ。では、次に狙うエリアはどこか。さらに、規模を拡大した先に、どのような税理士法人像を思い描いているのか。グループ総代表の柴田昇氏が、今後5年で計画している投資額のほか、税理士法人のM&Aにおける相場感の変化を明かした。







