トランプ大統領Photo:Chip Somodevilla/gettyimages

長期化で11月中間選挙に「強い逆風」
米国の立場は「弱くなった」の回答が44%

 米国・イスラエルによる対イラン攻撃の開始から、5カ月余りが過ぎた。当初、トランプ大統領は4~6週間程度での短期決着を見込み、「すぐに終わる」と強調していたが、その目算は外れ、事態は長期化している。

 6月中旬にはイランと戦闘終結に向けた覚書で合意したものの、核開発や制裁解除を巡る核心部分は先送りされた。7月以降、ホルムズ海峡の通航管理を巡る双方の認識の隔たりから攻撃の応酬が再燃し、親イラン武装組織フーシ派の攻撃により混乱が紅海南端のバブ・エル・マンデブ海峡にも広がるなど、情勢は再び緊迫している。

 11月には中間選挙が予定されているが、イラン攻撃は、米国の経済・政治が抱える歪みを浮き彫りにしている。

 第一に、情勢の混乱が長期化するなか、エネルギー価格上昇を通じて低中所得層の購買力を下押しし、米国経済の二極化と脆弱性を深めた。そして第二に、対外介入の抑制と国内優先を掲げてきた「米国第一主義」との矛盾を鮮明にし、政治面でも政権への逆風を強めた。

 トランプ大統領の支持率低下が続き、とりわけ無党派層の“トランプ離れ”は顕著で、岩盤支持層であるMAGA派の内部にも亀裂が走る。このところの世論調査では、イラン攻撃前より米国の戦略的・経済的立場が「弱くなった」とする回答が44%を占め、強くなったとする回答を上回る。

 共和党は苦戦し、下院では民主党に過半数を奪われ、「ねじれ議会」になる公算が大きい。

 そうなればトランプ大統領は、議会に主導権を握られる内政よりも大統領の裁量が大きい外交や通商分野で自らの存在感を示そうとするだろう。

「力の論理」による外交や通商政策は世界に新たな混乱をもたらす懸念がある。