ウォーシュ議長とベッセント長官を追い詰める“矛盾”、米長期金利「5%目前」で露呈する米金融・財政政策の迷走Photo:Melissa Sue Gerrits/gettyimages

混迷を深める米金融・財政政策
迷走気味スタートのウォーシュ議長

 米国の金融・財政政策は、混迷の度合いを深めている。

 今年5月に就任した米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長は、市場とのコミュニケーションという点でやや迷走気味のスタートを切った。

 ウォーシュ議長は、インフレ抑制の姿勢そのものは明示しながらも、「市場に予断を抱かせないためにFRBからの発信を抑制する」方針を示してきた。だが、明確な発信を拒む新議長の姿は、タカ派のふりをした“隠れハト派”ではないかとの疑念を生んだだけだった。

 金融政策の歴史を振り返ると、市場とのコミュニケーションを重視する考え方は1980年代以降に生まれてきたものだ。それ以前、中央銀行は必要以上のことを語らず、市場にサプライズやショックを与えることを厭わなかった。

 大きな転換点となったのは、1987年にFRB議長に就任し、巧みな政策運営で“マエストロ”とまで呼ばれたグリースパン氏の登場であろう。同氏は、市場とのコミュニケーションを通じてFRBの政策意図を市場に浸透させ、できるだけショックを与えないように慎重な政策運営を行ってきた。

 こうした金融政策運営のスタイルは、やがて米国以外でも採用されるようになり、市場に安心感をもたらした。その一方で、金利変動を過度に抑制した結果、投機を助長し、バブルを育んだという批判もある。