ドイツ東部ザクセン=アルハルト州議会選挙で勝利したドイツのための選択肢(AfD)のジークムント州首相候補Photo:EPA=JIJI
ドイツ政治が歴史的な転機を迎えている。東部ザクセン=アンハルト州議選でAfDが得票率43.8%を獲得して圧勝した。極右勢力を政権から排除してきた「防火壁」はどこまで維持できるのか。AfD伸長の軌跡をたどると、その背後には再統一から30年以上たっても残る東西格差と、東部社会の根深い疎外感が浮かび上がる。(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)
AfDが州議選で43.8%獲得の衝撃
「防火壁」はついに崩れるのか
米金利上昇を主軸とする金融市場の混乱が耳目を引く中、政治面に目をやると欧州の盟主・ドイツが歴史的な転機を迎えている。
既報の通り、9月6日に投開票が行われたドイツ東部のザクセン=アンハルト州議会選挙では極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)が圧勝を収めた。AfDは議席定数83のうち39議席を獲得し、辛うじて単独過半数には届かなかったものの、得票率は実に43.8%まで及び、連邦政府を率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)の倍以上の票を獲得している。
今回の結果は、ドイツ政治を定期的にウォッチしている立場からすれば、「来るべき時が来た」という感想を持つ向きが多いだろう。ドイツの主要政党間では極右勢力の政権参加、具体的には極右政党との連立を禁止する不文律がある。
いわゆるドイツ語で「防火壁(Brandmauer)」と呼ばれる政治慣行だが、過去10年程度のドイツ政治を振り返れば、この防火壁が何度も崩壊の淵に立たされつつ、辛うじて乗り越えてきた経緯がある。
次ページでは、ドイツにおけるAfD伸長の経緯と背景を検証する。







