地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦#26Photo by Go Takano

地方銀行の合従連衡を先導した九州エリアに、再編の第2波が到来している。総資産30兆円超えの王者として「広域拡大」を志向するふくおかフィナンシャルグループ(FG)。再編意欲は高いものの足踏み状態にある上位地銀グループ。さらに、自主独立を目指す小規模地銀。各行の思惑とプライドが交ざり合う様相は、まさに全国の地銀再編の縮図だ。長期連載『金融インサイド』内の特集『地銀再編サバイバル 売れ残り回避の最終戦』#26では、九州地銀の勢力図と再び動き出した再編の芽を詳報し、サバイバルレースの最新情勢に迫る。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)

「再編先進地」で動き出したマグマ
地銀首脳らが隠さなくなった野心

 地方銀行同士による合従連衡が先行する九州エリアに、さらなる再編の兆しが見え始めている。

 九州は、持ち株会社が4グループ存在し、移行への過程で経営統合を繰り返してきた地域だ。

 2015年には肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合し、九州フィナンシャルグループ(FG)が発足。翌16年には西日本シティ銀行と長崎銀行を傘下に置く西日本フィナンシャルホールディングス(FHD)が誕生した。

 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)も熊本銀行や十八親和銀行を傘下に収め、県境を越え勢力を広げてきた。

 ただ、ほんの少し前まで、目立った動きは見られていなかった。直近5年間だと、23年10月にふくおかFGが福岡中央銀行を完全子会社として傘下に迎え入れた程度にとどまる。

 ところが、この1年で目まぐるしく状況が変わり始めている。他地域で攻めの再編が相次ぎ勃発する中、九州の地銀首脳も野心を隠さなくなっているのだ。

 片や、九州地域には独立経営を目指す小規模地銀も複数存在する。SBIホールディングス(HD)との資本業務提携を解消した筑邦銀行の鶴久博幸頭取は、ダイヤモンド編集部の取材に対して、「地域のマーケットやお客さまに必要とされる以上、絶対に自主独立でやっていきたい」と断言した(詳細は本特集#23『筑邦銀頭取が激白!SBI北尾氏の「15%出資&役員派遣」要求を急転直下で拒絶した全内幕、「絶対に自主独立でいく」決意を表明』参照)。

 しかし、経営側が独立を望んでいても、資本の論理まで退けられるとは限らない。昨秋には宮崎銀行が宮崎太陽銀行の株式を大量取得し、筆頭株主に躍り出るケースも出てきたからだ。

 九州の地銀は、さらなる拡大を狙う「広域拡大型地銀」、上位地銀だが再編に足踏みする「再編足踏み地銀」、独立志向の小規模地銀である「自主独立地銀」に大別することができる。そしてその区分が意味するのは、全国の地銀が直面する成長と停滞、孤立の縮図そのものだ。

 次ページでは、九州地銀の勢力図を基にこの構図を読み解き、九州で動き始めた再編の芽と課題をつまびらかにする。人口減少や預金流出、増え続ける固定費――。金利ある世界の到来で規模を意識せざるを得ない中、各行はどう生き残っていくのか。