銅価格1万4000ドル台回復で「過去最高値」に迫る、AI需要と供給不安が支え中東情勢と米金利が揺さぶる相場の行方Photo:PIXTA

AIや電力網、EV、防衛など幅広い分野で需要拡大が期待される銅の国際価格が、再び史上最高値に迫っている。イラン戦争や米金利上昇、中国景気への懸念が下押し材料となる一方、鉱山の供給障害や米国への銅在庫の偏在が価格を支えている。5月以降の値動きをたどり、高値圏にある銅相場の先行きを検証する。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

供給不安と和平期待が交錯
5月の銅相場は高値圏で乱高下

 自動車、AI(人工知能)関連を含めたエレクトロニクス製品、建築などに使われる銅は、国際指標とされるLME(ロンドン金属取引所)の3カ月物が1月29日に1トン当たり1万4527.50ドルと史上最高値を付けた後、イラン戦争やAI・ハイテク株の下落が弱気材料になったものの、足元では1万4000ドル台を回復し、高値圏で推移している。

 いったん高値に近づいた5月頃からの銅相場の推移を振り返る。

 5月6日は、パキスタンの情報筋が、米国とイランは戦闘終結に向けた1ページの覚書で合意に近づいていると明らかにし、戦闘終結への期待が高まり、銅は上昇幅がやや大きくなった。

 8日は、米フリーポート・マクモランがインドネシアのグラスベルグ鉱山における操業再開が遅れるとの見通しを発表し、銅は3カ月ぶりの高値を付けた。フリーポート社は同鉱山をフル生産体制に復帰させる目標時期を、前月には「2027年末までに」としていたが、今回は「28年初頭までに」と遅らせた。

 週明けの11日は、供給不足観測がイラン情勢を受けた需要鈍化懸念を上回り、銅相場は上昇幅を拡大した。トランプ大統領は、イランとの一時停戦について「生命維持装置を付けている状態だ」と述べた。一方、株式市場を中心にAI(人工知能)分野への期待は引き続き強いとされた。

 14日は、それまでの連騰を受けて、利益確定売りが出やすくなったことや、米利上げ懸念が浮上したことで銅相場は下落した。前々日の米CPI(消費者物価指数)に続いて、前日は、米PPI(生産者物価指数)もインフレの加速を示す内容で、年内の米利上げ観測につながった。

 15日も利益確定売りが続き、下げ幅は大きくなった。中国の需要家は高値にある銅の買いを見送っているとされた。為替市場でのドル高も弱気材料だった。

 20日は、前日にチリ銅委員会(Cochilco)が26年の銅価格の平均予想を1ポンド当たり5.55ドル(1キログラム当たり1万2236ドル)に引き上げ、27年も5.10ドル(同1万1244ドル)と高止まりすると見込んだことや、この日、トランプ大統領が「イランとの交渉が最終段階にある」と述べて米・イランの協議に対する楽観的な見方が浮上したことが買い材料になった。

 次ページでは、6月以降の相場を検証しながら、銅相場の先行きを予測する。