米雇用統計「祭り」で読み解くAI・半導体相場の心理学Photo:Douglas Rissing/gettyimages

米メモリー・半導体相場は4~6月のラリーから一転、7月以降は深い反落・調整途上にある。相場は短期間で上下変転しがちで、同じ材料についても、市況解説は相場追認で明暗を変転させがちだ。米雇用統計発表時の相場を例に、市況情報の偏向を理解し、投資家としてこの難局にどう構えるかを考える。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

政府統計の信頼性に疑問も
毎月恒例の米雇用統計「祭り」の怪

 近年、投資家が最も注目する経済指標の一つは、米国の雇用統計である。発表の1週間ほど前から、雇用統計の強弱予想をにらんで、相場インパクトへの臆測がかき立てられる。発表時刻が近づくと、市場の目は数値結果の第一報に集中する。そして、発表された非農業部門の雇用者数、失業率、平均時給など代表的数値が予想より強いか弱いかで、金利、株、為替など市場が動く。

 しかし、雇用統計は、当初の発表値が翌月以降に大幅に修正されがちなことで知られる。しかも近年は、当初の発表値自体が、他の雇用関連指標と不自然に乖離(かいり)して、統計自体の信頼性に疑問が出ている。米トランプ政権下で政府の統計集計担当者が削減されたことも影響しているとされる。

 この程度のデータに過ぎないのに、市場は原則として毎月第1金曜日には、雇用統計「祭り」で賑わうのである。賑わうから相場も動きやすい。相場が動くから、市場も賑わい、市場参加者は無視・軽視するわけにはいかない。そして祭りになる。しかし、空騒ぎにすぎない場面があまりに多くなっている。

 次ページでは、雇用統計の評価のポイントと、波乱のAI・半導体相場への投資家の向き合い方を解説する。