「お客さんと直接向き合い、先方の事情をしっかり理解するという点では営業時代の経験がそのまま生かせるし、専門知識や技術的なことはあとから勉強すればいいので、もう腹を括るだけでした。何より、フルリモートで働かせてもらえるチャンスですから、迷う余地はないですよね」
残業続きの暮らしから一転
家賃は半額で倍の広さに
かくして2026年の2月、奥州市への移住を実現させた池野さん。東京では残業続きの日々を送っていただけに、現在の暮らしは快適そのものだと明るい表情を見せる。
「幸い、住む場所もスムーズに見つかりました。いまは賃貸マンションで暮らしているのですが、都心に比べると信じられない値段で広い部屋が借りられるんですよ。ざっくり言うと。以前の半額で1.5倍くらいの広さです。家賃が半分になるだけで、こんなに生活にゆとりが生まれるんだと実感していますよ(笑)」
転職によって収入そのものは下がったが、生活コストが大きく抑えられているため、感覚的にはプラスのほうが大きいと池野さんは語る。
「たしかに、仕事終わりに友人と一杯やるようなことができなくなったのは寂しいです。それが唯一の不満点ではあります(笑)。でも、オンラインで飲み会をやることもありますし、出張で東京へ行く機会もあるので、コミュニケーションの機会が減ったわけではないと思います」
奥州市で暮らし、フルリモートで働く日々。移住により、生活にメリハリが生まれた。 写真提供/本人
そして何より、新たに手に入れたのが時間的なゆとりである。
「以前は帰宅したら疲れ果ててすぐ寝てしまう毎日でしたけど、奥州市に来てからは映画を観たり本を読んだり、趣味に時間を使えるようになりました。いまの仕事に合わせて学ばなければならないことも多いですが、もともと新しいことにチャレンジするのが好きなので、まったく苦にはなりません」
気になるのはローカルの環境に対する適応だが、これもいまのところ「川や田園を眺めているだけで楽しいです」と意に介さない様子。







