「ドル離れ」の正体は「米国債離れ」か、対米投資の7割超が株・社債に集中する異変Photo:PIXTA

2025年4月の「解放の日」以降、市場で繰り返し語られてきた「ドル離れ」。だが、米財務省のTIC統計を詳しく見ると、海外マネーが米国そのものから逃げているわけではない。26年上半期の対米長期証券投資は過去最大規模に膨らむ一方、その7割超が株式と社債に集中した。進んでいるのは「ドル離れ」ではなく「米国債離れ」なのか。その実態と米金利への影響を検証する。(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)

対米資金流入はむしろ過去最大
それでも進む「米国債離れ」の実態

 2025年4月の「解放の日」を境として、金融市場では「ドル離れ」が議論の的となり、現在に至っている。

 それ以降、筆者は米財務省から公表される対内・対外証券投資(TICデータ)の定点チェックを行ってきた。8月18日には6月分が公表され26年上半期(1~6月計)の対米証券投資動向についてイメージがつかめるようになっているため、現状整理をしておきたい。

 先に最新6月分の合計を見ておくと、米国への長期有価証券投資は合計で2071億ドルと3カ月連続で2000億ドルを超える純流入が確認されている。ちなみに「3カ月連続で2000億ドル超え」は初の現象であり、対米資本流入の力強さは増している。

 しかし、注目すべきは対米資本流入の規模(金額)というよりも、その構造(商品構成)である。端的に「米国政府は信用できないが、米国企業には投資したい」という市場心理が今年上半期時点でもはっきり表れている。

 次ページでは、TICデータを検証しつつ、「米国政府は信用できないが、米国企業には投資したい」という具体的な動きを分析する。