日本円が米ドルに対し162円台後半まで下落し、1986年12月以来の安値を記録した日本円が米ドルに対し162円台後半まで下落し、1986年12月以来の安値を記録した=7月1日 Photo:EPA=JIJI

ドル円相場は一時162円台に乗せ、39年半ぶりの円安・ドル高水準を更新した。投機筋の円売り拡大は短期的な円高反転リスクを高めるが、過去と異なり現在は貿易赤字という実需の円売りが重い。円高の持続力が失われた構造変化を読み解く。(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)

39年半ぶり円安の背後で
膨らむ「投機の円売り」

 ドル円相場は一時1ドル=162円台と遂に今次円安局面の高値を更新し、39年半ぶりの円安・ドル高水準で推移している。元より存在していた需給構造への不安に加え、FRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派旋回への思惑が重なり、円を手放す地合いが定着している。

 39年半前といえば、1986年12月であり、プラザ合意を経たドル円相場が円高・ドル安を強いられている途上にあった時期に重なる。かねて本コラムへの寄稿や拙著で述べているように、「円高の歴史」が2012年前後に幕を閉じ、そこから長い時間をかけて「円安の歴史」が積み上げられているのが現状ではないかと整理したい。

 もっとも、今年2月末のイラン攻撃以降、円安・ドル高はかなり性急でもある。ドル円相場は2月中旬の安値(152円付近)から約4カ月間で6%弱も上昇している。

 この間、欧米中銀は利下げ路線から利上げ路線に転換し、日本の貿易収支見通しも著しく悪化しているため、円安へ傾く動き自体はファンダメンタルズに沿ったものである。

 しかし、ファンダメンタルズの悪化に乗じて「投機の円売り」が積み上げられているのも事実であり、IMM通貨先物取引におけるネットの円売りポジションは6月23日時点で113億ドルまで積み上がっている。図表1の赤点線楕円部分に示されるように、遡及可能な92年以来、ネットの円売りポジションが100億ドルを超えて定着した事例は何回か確認できる。

 次ページでは、その時期のマクロ経済状況、円の需給などを検証しつつ、現状ならびに先行きのドル円相場を予測したい。