
「新興国株の好調は、果たして本物なのか――。」 2025年以降、2010年から続いた長い低迷期を脱し、先進国株を約2倍上回る運用成績で脚光を浴びている新興国株式市場。しかし、その上昇を支えるセクターは、中国のネット関連銘柄からテクノロジーハードウェア・半導体株へと大きな変化を見せています。BNPパリバ・アセットマネジメントの最新レポートから、今後の持続性を占う上で押さえておきたいポイントを解説します。
2025年以降、好調に推移する新興国株
長期低迷からの脱却と持続性への疑問
2026年9月4日付で公表されたBNPパリバ・アセットマネジメントの調査レポート「Is emerging market equity outperformance sustainable?(新興国株のアウトパフォームは持続可能か?)」では、2025年以降の新興国株の好調さを指摘しています。新興国株指数は、年初来の成績も先進国株を大幅に上回るなど、2025年以降の成績は先進国株市場を幅広くカバーするMSCIワールド指数の約2倍の上昇率に達しています(米ドル建て)。
ただし、以下の図表でも明らかなように、足元の新興国株の先進国株を上回る運用成績は、2010年から始まった長期的な低迷を経てのものです。投資家にとっての課題は、足元の反発が一時的なものなのか、それとも1987年や2001年に始まったような長期的なトレンドになるのかという点にあると言えるでしょう。
上昇相場を牽引した2つのセクター
中国ソフトウェアからハードウェア・半導体へ
その問いに答えるためには、何が足元の新興国株の好調を支えているのかを分析することが重要です。
直近で新興国株がアウトパフォームした期間は、大きく2つに分けられます。
1つ目は2025年から始まった上昇で、主に中国のオンライン小売業者や検索エンジン、ソーシャルメディア、ソーシャル・ネットワーキング・プラットフォームなどソフトウェアセクターが新興国株相場をけん引しました。しかし、これらの銘柄は2026年に入って大きく出遅れています。
2つ目はこれに代わって、2025年後半から新興国株をけん引している、テクノロジーハードウェアおよび半導体株の上昇です。これらのセクターは6月下旬から大幅な相場の調整に見舞われていますが、それでも年初来で45%程度の上昇となっています(9月3日時点)。なお、その他の新興国株の成績は、概ね先進国市場の銘柄と同水準で推移しています。
こうした視点で見ると、新興国株のアウトパフォームが持続するかどうかは、中国のソフトウェア関連銘柄のリバウンド、もしくはテクノロジーハードウェア、半導体株の継続的な上昇のいずれかにかかっているといえそうです。
新興国株のアウトパフォームは続くか
中国割安株のリバウンドと半導体の業績トレンドがカギ!
中国のソフトウェア株の株価は、割安な水準で取引されており、今後の株価の見通しにとって明るい材料と言えるでしょう。ただし、中国のソフトウェア株は常に割安に取引されている銘柄が多いため、その点は注意が必要です。
一方、ハードウェアおよび半導体株の見通しについては、継続的な力強い利益成長が前提となっており、見通しはより良好です。
足元では市場予想を上回る決算発表が続いていますが、新興国株のアウトパフォームが持続するためには、こうした業績トレンドが続くかどうか注意深く見極めていく必要がありそうです。
藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。マーケティング部 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
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本記事は2026年9月12日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。






