自動車 解体#7Photo by Koyo Yamamoto

自動車用シートを手掛ける独立系メーカーのタチエス。売上高の約7割をホンダと日産自動車が占めるが、その両社は販売不振に苦しんでいる。主要顧客への依存度が高いタチエスは、生き残りを懸けて大きな決断を下した。特集『自動車 解体』の#7では、その狙いと勝ち筋について、タチエスの山本雄一郎社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

系列解体で日産系から独立系に
日産・ホンダ不振への対抗策とは

――タチエスは、特定の自動車メーカーから出資を受けない「独立系シートメーカー」です。

 かつては日産自動車系でしたが、カルロス・ゴーン体制下で進められた「系列解体」の影響もあり、現在は日産の資本は入っていません。同じシートメーカーである、トヨタ自動車系のトヨタ紡織や、ホンダ系のテイ・エス テックは、一定程度、ビジネスが保証されていると思います。

 一方、独立系の当社は、自ら仕事を取りにいかなければなりませんし、系列メーカーにはない技術提案で存在感を示す必要があります。「日本の自動車メーカーの数は多い」といわれていますが、シートメーカーも同様で国内に14社あり、競争は非常に厳しいです。

――その日系自動車メーカー自体が、中国勢の躍進などもあり、軒並み苦戦しています。

 当社は日系メーカー中心のビジネスです。業界トップのトヨタでさえ、中国勢に負けるのではないかという危機感があります。主要取引先の日産とホンダの販売台数が伸びていません。「どうやって成長していくのだろう」と先行きを懸念しています。

 社内には、「すでに戦国時代に突入している。タチエスが勝ち残れるかどうかは、これからの戦略次第だ」と繰り返し伝えています。

――2025年度売上高の顧客構成を見ると、ホンダ向けが34%、日産向けが34%で約7割を占めます。両社共に25年度は巨額の最終赤字に陥るなど、業績が厳しいです。主要顧客向けのボリュームを伸ばせない中、タチエスはどのように生き残っていきますか。

ホンダと日産への依存度が約7割に達するタチエス。両社が新車販売で苦戦する中、タチエスはいかにして成長戦略を描くのか。次ページでは、山本社長自らが「生き残り懸けた一手」と位置付ける勝ち筋を明かした。