自動車 解体#3Photo by Koyo Yamamoto

「部品共用化」は、自動車メーカー同士の協業を象徴する取り組みだ。ところが、資本提携関係にある三菱自動車と日産自動車の間では、その前提が揺らぎ始めている。コスト削減につながるはずの共用部品が、なぜ敬遠されるのか。特集『自動車 解体』の#3では、三菱自と日産の間で、部品共用化が進まない意外な裏事情を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

三菱自副社長「日産と共用化進めたい」
だが戦略車での共用部品は「ほぼゼロ」

「お客さまに見えない基本性能となる部分は、できるだけ(部品の)共用化を推進しながら、安価に車両を提供していきたい」――。

 5月8日に行われた三菱自動車の2026年3月期決算説明会。日産自動車出身の山口武・三菱自副社長はこう語った。

 日産は、三菱自の株式26.67%を持つ筆頭株主であり、ルノー・日産・三菱アライアンスの一角を担う。

 一般論として、自動車メーカーが複数社で部品を共用すれば、調達する数量が増加し、サプライヤーに対する価格交渉力が高まる。その結果、車両コストの低減につながる。サプライヤーにとっても、生産効率の向上や開発費の回収が容易になる。そのため、部品共有化はメーカーとサプライヤー双方にメリットをもたらす協業策とされてきた。

 三菱自自身も5月末に公表した中長期ビジョンで「部品・コンポーネント共用」と「最適調達」を構造転換の柱に据える。

 ところが、複数の三菱自関係者によれば、「最大市場のアセアン(東南アジア諸国連合)で展開する『エクスパンダー』などのアセアン戦略車では、日産との共用部品は(主要構成部品ベースで)ほぼゼロに近い」という。

 本来であれば協業効果が期待される主力車種で、部品共用化はほとんど進んでいないのが実態だ。むしろ、三菱自社内では、「日産との共用部品は使わない方がいい」との声まで聞かれる。

 なぜ、日産との部品共用化が進まないのか。次ページで、その理由を追うと、意外な裏事情が浮かび上がってきた。