Photo by Masataka Tsuchimoto, SANKEI
AIの普及によるデータセンター向けの需要拡大が期待される中、電力・ガス大手の足元の業績は一様ではない。東京電力ホールディングスが巨額赤字に沈み、中部電力や関西電力も原発の稼働を巡り課題を抱える。その一方、東京ガスは大幅増益を確保した。今回はこれら大手4社を取り上げる。各社で世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#22では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、東電と中部電はOB世代が優位だった一方、関電と東ガスは現役世代が勝ち組となった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
AI需要の追い風でも業績は一様でない
再建・原発・電力販売で明暗分かれる4社
電力・ガス業界は、AIの普及でデータセンター向け需要の増加が見込まれるなど、中長期では追い風が期待される経営環境だ。だが、各社の足元の状況はかなり違う。東京電力ホールディングス(HD)は、福島第1原子力発電所のデブリ取り出し準備費用などを特別損失に計上し、2025年4~12月期の純損益が6626億円の赤字(前年同期は2431億円の黒字)に転落した。その一方で、新たな再建計画では外部資本の受け入れやデータセンター需要の取り込みを柱に据え、経営再建を急いでいる。
中部電力は同期に最終増益を確保したが、浜岡原発のデータ不正を受けて原子力規制委員会による審査がストップした。浜岡原発の再稼働は「白紙」となり、年2500億円規模と見込んでいた費用削減効果が宙に浮いている。対照的に、関西電力は原発を既に収益の柱にしているものの、定期検査で稼働率が下がり最終減益となった。
東京ガスは別の道を歩んでいる。25年4~12月期の最終利益は前年同期の約5倍となる1662億円に膨らみ、電力販売量の増加や為替換算調整勘定の取り崩し益が収益を押し上げた。さらに新中期経営計画では、再生可能エネルギーの導入目標を外す一方で、米国のシェールガス開発や液化天然ガス(LNG)事業に3年で3500億円を投じる方針を打ち出している。
もっとも、足元の業績が良いからといって、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。
今回は東京電力HD、中部電力、関西電力、東京ガスを取り上げる。4社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。
対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。
試算の結果、東京電力HDと中部電力はOB世代が優位となった。一方、関西電力と東京ガスは現役世代が勝ち組で、4社で「勝ち組」「負け組」の構図は大きく分かれた。次ページでその詳細を確認しよう。







