Photo by Masataka Tsuchimoto
東京電力ホールディングス(HD)のアライアンス交渉の難航に続き、中部電力の不祥事など2026年の電力業界は混迷を深めている。親会社2社が苦境に立たされる中、共同出資で設立されたJERAはどこ吹く風で上場の夢を描く。長期連載『エネルギー動乱』内の特集『東電分解』の#2では、JERAが描く新規株式公開(IPO)の狙いと、その前に立ちはだかる東電HDアライアンスの影響をひもとく。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)
バリューチェーン築いたJERA
親会社を圧倒する業績と独立の足音
JERAを取り巻く環境は2015年の設立から目まぐるしく変化している。
JERAは11年の福島第一原子力発電所事故を受け、火力発電の競争力強化と世界規模の燃料調達競争に打ち勝つために、東京電力と中部電力の包括的アライアンスに基づき、火力発電事業を切り離して設立された。
その後、燃料調達やトレーディングから発電、電力の卸売りまでのバリューチェーンを構築。さらに洋上風力事業への参入など電力業界の各分野で積極的な事業拡大を続けている。
業績を比較してもJERAと東京電力ホールディングス(HD)、中部電は親子の関係には見えない。26年3月期では、東電HDの売上高6兆3000億円に対し、中部電が3兆5000億円、JERAが3兆円。親会社の一角である中部電に肉薄する事業規模となっている。
経営難で外部資本を受け入れざるを得ない東電HDと不祥事に揺れる中部電を尻目に、順風満帆なJERAは事業拡大に伴う人材獲得も活発だ。関係者によると、東電HDからJERAに転職する人材までいるという。
事業拡大にまい進するJERAが次なる一手として描くのが、新規株式公開(IPO)だ。上場の前段階として既に持ち株会社化が検討されるほど構想は煮詰まっている。
JERAはなぜ今、親会社のくびきを脱しようとしているのか。背景にあるのは、AI普及に伴う爆発的なデータセンター(DC)需要と、待ったなしの火力発電所建て替え問題だ。
東電HDと中部電という「二人の親」が警戒を強める中、JERAが水面下で進める上場計画の具体像と、そこに影を落とす東電HDアライアンスの複雑怪奇な力学を次ページで詳報する。







