今般の米国自動車殿堂入りについて、公式授賞理由は「ドライバーを起点とした考え方(ドライバーファーストの哲学)をもとに、自動車産業のローダーシップを再定義し、モダン・モビリティに情熱・性能・目的を取り戻しならトヨタを変革期へ導いた」ことだ。

 章男はクルマ好きで、「モリゾウ」というドライバー名を持つ。「もっといいクルマをつくろうよ」を合言葉に、トヨタを新車販売台数で6年連続世界1位にした功績は大きい。人知れず、創業家ゆえの苦悩や孤独感も味わってきたであろう。

足を引きずる様子「実はかなりひどい」
6月に股関節の手術も受けたが…

 一方で、トヨタで長年マスタードライバー(クルマ作りの基準を担う最高峰の評価ドライバー)を務めてきた身体への負担があり、年初の東京オートサロン会場では足を引きずる様子が見られた。筆者が「足は大丈夫ですか」と尋ねると、「実はかなりひどい」と返ってきた。6月に股関節の手術も受けたそうだ。

 明治の実業家・渋沢栄一は「「四十、五十は洟垂れ(はなたれ)小僧 六十、七十は働き盛り 九十になって迎えが来たら 百まで待てと追い返せ」という言葉を残している。現代では70代でも「現役バリバリで働いています」なんて人も多い。

 章男は引き続き、心身の健康に努めて、トヨタを率いるだろう。この点について、章男は会長として“院政”を強めており、手術も乗り越え、次世代への完全バトンタッチまでやる気十分だ、という指摘も聞かれる。

 というのも、章男の長男で豊田家4代目となる豊田大輔(38歳)が今年8月、子会社のウーブン・バイ・トヨタからトヨタ本体へ復帰している。帝王学の履修すなわちキャリアの研鑽と、輝かしい行く末に期待したい。

佃プロフィール