「犯行をスムーズに行い、逃走しやすくするためです。家のどこに何があるのか分からず棚などを物色していては、時間がかかって逮捕されるリスクが高まります。『2階のあの部屋の引き出しに貴金属がある』と分かっていれば、犯行時間は最短で済みます」

 犯人グループは家族構成や資産、留守の時間帯、防犯カメラの位置、逃走経路などを徹底して調べる。

 その手口は巧妙だ。訪問業者やセールス、農作業姿などを装って地域に溶け込み、インターホンを押して在宅状況を確かめたり、住宅をスマホで撮影したり、防犯カメラの位置を確認したりする。なかには、貴金属の買取業者を装って家に入り込み、資産の保管場所や間取りを把握するケースもあるという。

 岐阜県内でも、表札や車庫をスマホで撮影する人物や、自宅フェンスに小型カメラを設置する事例があった。深夜に男がポストに何かを投函し、約30分後に回収する不審な行動も通報されている。

 岐阜県警によると、県内22警察署に寄せられた不審な訪問や悪質業者に関する通報・相談件数は、2025年10月~26年8月末の11カ月間で365件に上る。すべてを下見と断定はできないが、特に今年5月に栃木県で発生したトクリュウによる強盗殺人事件以降、住民の警戒感は一段と高まっている。

「謎の石」「黒い物体」を見つけたら警察へ…「泥棒に狙われる家」の危険なサイン【警察官が解説】岐阜県警生活安全総務課の足立佑貴課長補佐(右)、塚原邦幸係長(左) Photo by Masahiro Sugiyama

ポストの石、壁の数字…
「マーキング」の恐ろしい実態

「自宅のポストの下に、見覚えのない石が置かれている」
「勝手口の壁に数字が書かれている」
「勝手口の扉に白い塗料で文字が記されていた」
「玄関や裏口に石が並べられていた」

 こうした不審な印や物についての通報・相談も寄せられている。住宅などに数字や記号、シールなどを残す行為は「マーキング」と呼ばれ、家族構成や留守の時間帯、防犯設備の状況などを仲間内で共有する目印とされる。