「問いの立て方」が変われば答えも変わる

 この話のポイントは、山本さんの「問いの立て方」にあります。

 普通なら「どうすれば早く全員の役職を覚えられるか?」と考えるでしょう。しかし、山本さんが解決したかったのは、役職がわからないこと自体ではなく、それがストレスとなって仕事に集中できないことでした。

 そこで立てた問いは、「相手に失礼にならず、このストレスをなくすにはどうすればよいか?」です。その答えが「全員さん付け、全員敬語」だったのです。これであれば、一瞬で問題は解決します。

 これが、「正しく問いを立てる」ということです。

 私たちは不都合な事象に直面すると、無意識に「それが問題だ」と考えてしまいます。問題解決に長けた管理職であればあるほど、問題に即した解決策を迅速に出すこともできます。しかし、その強みが、問題設定自体を疑う機会を奪ってしまうことがあるのです。

 たとえば、上司のAさんは、最近、部下のBさんにやる気が見えないことが気になっていました。今年度の成績もパッとしません。

 Aさんは、これまでチーム一丸で「イケイケ」で成果を出してきたタイプの管理職です。「成果=やる気」という固定観念のもと、「どうすれば、Bさんのやる気を引き出せるか?」という問いを立てるでしょう。

 Bさんに仕事の意義や、達成すること、認められることの喜びを説き、「一緒に頑張ろうぜ!」と、励ますかもしれません。

 しかし、Bさんの成績低迷の理由は本当にやる気の問題なのでしょうか。もし、Bさん自身が、「自分なりに頑張っているし、言われたことぐらいわかっている」と思ったとしたら――その対応では問題は解決しません。