個体数が平衡状態(世代間で個体数があまり変動しない状態)を維持していることを前提にすると、生まれてきても必ず大人になれるとは限らないことになります。いやむしろ、子はほとんど死んでしまうはずです。つまり、子は大人になるための過酷な生存競争にさらされているのです。

生き残った性質が
次の世代へ受け継がれる

 生存競争で生き残るのは、運がよかったせいだとはダーウィンは考えません。生き残るには生き残るだけの理由があったのだと疑い、その理由として、生き残った子がもっていた形や性質が、生き残れなかった子のそれらよりも、環境に適していたからだと考えました。

 そして、生き残った子がもっていた環境に適した形や性質は、遺伝により次の世代に受け継がれると訴えました。

 こうなれば、世代を経るごとに、生物の形や性質が、より環境に適したように変化するはずです。そして、これが何世代も続くと、目に見えて生物の形や性質が変わってくるのだとダーウィンは説いたのです。

 例えば、体の色が黒から白まで様々な濃さとなっているガの集団を考えてみましょう(図3-2)。どの世代も、体色の濃さが異なる個体からなりますが、すべての個体が子を残せるわけではありません。個体間では生存と子を残すための競争が起こります。

 仮に、色の濃い個体が捕食されにくいとすると、こうした個体が生存競争で有利となり、より多くの子を残しやすくなります。親の体色は遺伝するため、世代を経るにつれ、集団内で体色の濃い個体が増えていくのです。

図3-2 ダーウィニズムの概念図同書より転載 拡大画像表示

 以上がダーウィニズムの概要です。ダーウィニズムでは、自然が生物を選抜することが進化の原動力で、自然選択と呼ばれます。つまり、自然選択が推進する進化がダーウィニズムなのです(進化には別の原動力も知られていますが、本記事では割愛します)。