掃除をする、洗濯物を干す、料理をする、買いものに行く、片づけをする。

 これらで消費するカロリーはすべてNEATです。

 そして研究では、NEATが多い人ほど、肥満や生活習慣病のリスクが低いことが分かっています。

 つまり、「運動しなきゃ」と新しく何かを足さなくても、日常を動いて過ごしていれば、体はちゃんと使われているのです。

 具体的に見てみましょう。

 以下はいずれも、体重60kgの方が30分間行った場合の目安です。

 掃除機がけは、ウォーキング20分ほどに相当します。

 床の雑巾がけは、軽いジョギングに近い負荷。

 料理や洗濯物干しでも、立ちっぱなしで腕や体幹を使っています。

 これらを合わせると、1日の家事だけで200~400kcalを消費しているケースもめずらしくありません。

 これは、ウォーキング1時間分にも相当します。

「家事だけで1日が終わる」。それは、「1日中体を使っている」ということでもあるのです。

家事がすぐれている理由は
「実生活そのもの」だから

 家事のいちばんの強みは、日常生活に欠かせない動きが、そのまま運動になることです。

 立つ、しゃがむ、持ちあげる、手を伸ばす、体をひねる。

 これらは、自立した生活を続けるために欠かせない動作です。

 さらに料理では、手順を考え、段取りを組み、火加減を見ます。

 これは体だけでなく、脳のトレーニングにもなります。

 掃除や片づけも同様に、注意力・判断力・持続力を使います。

 家事をやめてしまうことは、運動の機会と、認知機能の刺激を同時に減らすことにもなりかねません。

いつもの家事を
「運動」と捉えてみる

 とても興味深い研究があります。

 同じ仕事をしていても、「これは運動だ」と認識している人のほうが、体重や血圧、体脂肪率が改善していた、という報告です。

 体の動きは同じでも、「これは体にいい動きなんだ」と理解しているかどうかで、結果が変わるのです。

 家事を「しなければいけない作業」ではなく、「自分の体を動かしている時間」と捉える。

 それだけで、姿勢や呼吸、動き方も自然と変わってきます。

 もちろん、無理は禁物です。

 重いものは持たない。体調の悪い日は休む。人に頼れるところは頼る。

 完璧に行うことより、できる範囲で続けること。

 それが家事を「良い運動」にするコツです。

 掃除、洗濯、料理、買いもの。

 これらはすべて、立つ・歩く・しゃがむ・手を伸ばす――生活に必要な動きをくまなく含んでいます。

「これは運動なんだ」と意識するだけで、家事は、体力維持と老化予防のためのとても効率のよいトレーニングになります。

 一人暮らしの方ほど、家事は自立を支える大切な運動です。

 あなたが毎日している家事は、すでに体を支え、生活を守るはたらきをしています。

「今日も体を動かした」そう思える時間が、すでに暮らしの中にある。

 その事実に気づくことが、健康習慣を続ける、いちばんの近道です。