在庫切れでもディスプレイはそのまま
マレーシアに赴任した筆者の違和感
筆者は、8月よりマレーシアのモナッシュ大学に赴任している。
モナッシュ大学はオーストラリアのメルボルンに本校があり、オーストラリアに6キャンパス、さらにマレーシアと南アフリカにキャンパスを展開している巨大大学だ。
マレーシア校のビジネスクールは、今年の1月にニューロビジネス分野を新設した。私はその分野の専任として赴任している。
マレーシアで生活するのは初めてなので、この1ヵ月は仕事よりも生活の基盤をつくることに時間を費やした。
最近、マレーシアはロングステイ先として、日本人の間では最も人気のある国だという。日本より物価が安く、年中過ごしやすい気候である(意外なことに日本より快適)、英語がある程度通じるなど、日本人によって住みやすい条件がそろっている。しかし、異なる国で暮らせば、様々なものが違ってくるのは当然のことで、トラブルも色々と起こる。
それらの中には、もちろんビジネスに関することもある。
掃除機を買いに、ある日系スーパーに行ったときのこと。日系といっても店員はみなマレーシア人だ。展示されているセール品をほしいと言うと、もう在庫切れだという。
では、その近くに展示されていた別の商品がほしいというと、それも在庫がないという。「じゃあ、これでいいや」という気持ちで、真ん中に展示されていた多少高い製品を指さすと、「先月にもう売り切れた」という返事。
さすがに「在庫のないものを何で展示してるの?」と訊いてしまった。店員は肩をすくめて「展示しないとスペースが空くでしょ」。つまり、ところ狭しと商品がディスプレイされている方が、店としての格好がつくので、在庫がなくてもそのままにしているらしい。