Photo by Tatsuya Kurosaka

 9月上旬、オランダ・アムステルダムで開催された、国際放送展(International Broadcasting Convention、以下IBC)に参加した。世界最大級の放送業界イベントであり、ここ数年は毎年参加し、放送と通信がどのように混ざっていくのか、定点観測している。

 昨年のIBCは、セットトップボックス(以下STB)と4K8Kが盛り上がっていた。前者は通信との関係が深いものの、後者は基本的には放送サービス単独のテーマであり、たとえばスマートデバイスとの連携における4K8Kといった取り組みは、それほど見受けられなかった。

 今年は一転して、コネクテッドTVという特別ゾーンが設けられるなど、通信との接続を前提とした放送サービス、放送的なコンテンツサービスにフォーカスされていた。こうした動きは言うまでもなく、スマートフォンやタブレットとの親和性が強い。そこで今回は、IBCから見えた今後の通信と放送の行方について、レポートしたい。

勢いを増すスマートテレビ

 IBCは放送業界の展示会である。そのため、米国で開催されるCES(コンシューマエレクトロニクスショー)や、スペインのMWC(モバイルワールドコングレス)に比べ、通信端末などのガジェットの新製品発表等はほとんど見当たらない。消費者との直接的な接点としては、発表済みのプロダクトを使ったソリューションが多い。

エリクソン(上)、華為技術ブース Photo by T.K.

 今回主要テーマとして取り上げられた「コネクテッドTV」についても、スマートテレビそのものの新製品発表というのではなく、映像コンテンツ事業者がスマートテレビを実現するためのシステムや、それを消費者に提供するためのSTB、あるいはそれをサポートする周辺機器との連動等が、展示されていた。

 たとえばエリクソンは、IPTV時代のネットワークについて、単なる通信インフラという観点ではなく、いかにそれを事業化に近づけるべく最適化するか、という視点でのソリューションを提示していた。また、中国の華為技術(huawai)もこの領域に参入し、IPネットワーク上での映像配信を支える様々な機器を紹介していた。