為替レートや株価は、今年の春以降ほぼ膠着状態にあったが、11月中旬以降、円安が進み株価が上昇している。これは、新しいトレンドになるのだろうか? 以下では、為替レート変動の要因について考えることとしたい。

為替レートの推移

 日本の平均株価は、円ドルレートだけでほとんど説明できてしまう(野口悠紀雄『虚構のアベノミクス』第4章の5を参照)。11月中旬以降の株高も、ほとんど円安で説明することができる。

 日本の政策は関係ないし、日本企業が強くなったからでもない。円安が、円表示の輸出価額を増やして、利益を増価させるからだ。本来は、製造業の輸出企業が影響されるはずだが、株価全体が影響されている。

 したがって、為替レートこそ重要だ。為替レートは、株価だけでなく、経済のさまざまな変数に影響を与える重要な変数だ。そこで、以下では、これに関する分析を行なうこととしよう。

 まず、名目の円ドルレートの推移を見ると、つぎのとおりだ。

 リーマンショック後に円高が進んだが、2011年以降は、1ドル=80円程度であまり大きく動かなかった。ところが、12年11月頃から急激に円安になり、12年10月末の1ドル=80円程度から、13年3月末の99円程度まで、円安が進んだ。その後は、98~100円程度の範囲内にあった。それが11月中旬から102円程度の円安になっている。

日米金利差で説明できなくなった円ドルレート <br />円安をもたらしたのは、ユーロ情勢の変化か、投機か?

 ユーロに対しても、リーマンショック後に円高が進み、12年には1ユーロ=100円程度となっていた。ところが12年夏頃から円安が進み、13年2月には125円程度となり、さらに5月には130円程度となった。その後は、130~135円程度だったが、11月初めから円安が進み、140円程度となっている。