海外ブランドに惑わされず、自分の頭で判断しよう
日本の学生の質が低い、日本の大学だけが遅れている、欧米の超有名校はすごい、有名教授はすばらしい、などといった論調は、必ずしも正確ではありません。
ときおり、日本はまったくダメで、欧米のやり方がすばらしいのだから、それを追わなければならない、という安直な議論も目にします。しかし、それはおそらく、危険な誤りでしょう。
ブランド志向には要注意です。「誰が言ったのかよりも、何を言ったのか」。これを意識して、実際に何が主張されているのかを自分の頭で考えて判断しなければなりません。
その人の所属や地位だけですべてを判断してしまう人たちは、とても頭が良い大人たちの、適当だがもっともらしい主張に、良いように操られてしまいます。私には、欧米の大学に対する過度の「ブランド志向」は、この行き過ぎのようにも思えます。
昨今の日本では、知識や知見を「売る側」にも「買う側」にも、「ブランド志向」が蔓延しているのではないでしょうか。もしそうだとすれば、これはもはや国家の危機です。
今一度、本質に立ち返り、状況を正確に把握しなおし、日本独自の、100年先を見据えた教育の未来を議論する必要があります。そして、それは欧米の大学の「コピペ」などでは、けっしてないはずです。
みなさまは、どのように思われますか?多様な御意見、ご感想をお待ちしております。
長くなってきましたので、今回このくらいで。では、また。
*1 文部科学省. 2013-12-20. “平成25年度学校基本調査”, http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528, (アクセス2014-4-9).
*2 OECD. 2013. "Education at a Glance 2013: OECD Indicators." OECD Publishing. 71. http://www.oecd-ilibrary.org/education/education-at-a-glance-2013_eag-2013-en, (accessed 2014-04-01).
*3 The Telegraph. 29 Mar 2012. "University drop-out rate soars by 13pc in a year.", http://www.telegraph.co.uk/education/educationnews/9173784/University-drop-out-rate-soars-by-13pc-in-a-year.html, (accessed 2014-04-01).
*4 International Association of Universities. 2007. International Handbook of Universities Nineteenth Edition. Palgrave Macmillan.
*5 Montgomery Educational Consulting. 24 Feb 2010. "FAMOUS GRADUATES OF LIBERAL ARTS COLLEGES.", http://greatcollegeadvice.com/famous-graduates-of-liberal-arts-colleges/, (accessed 2014-04-04).
*6 Martin, Roger. 2012. "The Price of Actionability." Academy of Management Learning & Education 11(2): 293-299.
現代の国際経営は、全世界の各地域が網の目のようにつながり合い、そして、連携する「世界的な価値連鎖」の時代となりつつある。第14回は、そうした時代に求められる企業の経営、国家の方向性を模索する。次回更新は、4月21日(月)を予定。
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