数多いミネラルウォーター商品の中でも、日本ブランドの先駆け的存在であり、もはや誰もが知っているブランド「六甲のおいしい水」。しかしこの「六甲のおいしい水」が、先月17日、公正取引委員会から景品表示法違反で排除命令を受けていたということを知っている人は少ないかもしれない。2リットルボトルに、消費者に誤解を与える不当な表示(優良誤認表示)があったというのだ。排除命令を受けた商品の中では、売上高で過去最高額の商品となる。
今回、公正取引委員会が指摘した不当表示に関する経緯はこうだ。
1983年の商品発売から、ハウス食品は神戸市灘区にある「六甲採水場」で、500ミリリットル、1.5リットル、2リットルの3商品を生産してきた。しかし2005年、ミネラルウォーターの市場拡大を受けて、神戸市西区に新工場「六甲工場」を建設。2リットルボトルの商品に関しては、この新工場で生産をしていた。今回問題になったのはこの2リットルボトルである。
2リットルボトルに関わらず、すべての商品のラベルには次のような記載があった。
『花崗岩に磨かれたおいしい水――六甲山は花崗岩質で、そこに降った雨は地中深くしみ込み、幾重にも分かれた地層の割れ目を通っていく際に花崗岩内のミネラルを溶かし込み、長い時を経て、口当たりの良い、自然なまろやかさが生きている良質の水になります』
しかし公取は、新工場で生産された2リットルボトル商品に関しては、上記の要件を満たしていないと指摘。新工場である六甲工場は、六甲採水場がある六甲山系とは地層の構造が異なっており、そこで採れる水には花崗岩のミネラル分が十分に含まれていないという。昨年の秋に行なわれた実際の水質検査でも、ほかの2商品と比べ、2リットルボトルに関しては、花崗岩質に多く含まれるミネラルであるカリウムが大幅に少ない(約4分の1)ことがわかった。
これに対しハウス食品側は、「新工場においても、六甲山系の花崗岩層から地下水が流れてきており、不当表示ではない」と反論。しかし今年1月から、2リットルボトル商品に関して、問題となった表示を削除して商品を販売した。結局、「処分を真摯に受け止め、商品表示の適正化に対しては、より厳格に対応していきたい」とコメントしたという。
急増する「景品表示法違反」
大手企業が続々と
反論しつつも結局は、従わざるをえなかったハウス食品。しかしこれはハウス食品だけの問題ではない。近年、このような「景品表示法違反」による排除命令の数が急増しているのである。今年に入ってからでも、例年以上のペースで増えている。いくつかご紹介しよう。