鹿島、大成建設、大林組、清水建設の上場スーパーゼネコン4社決算が出そろった。図にあるように、大林組を除く3社が営業増益。鹿島と大成建設と清水建設は2ケタの増益となり、ゼネコン復活の兆しが本格化したと言える。
転機は2011年3月に起きた東日本大震災。それまでは公共工事が激減して土木事業が大打撃を受けていたのに加え、景気低迷を受けて民間企業が主な発注者となる建築事業も冴えなかった。しかし、震災以降、復興需要によって土木事業が復活したうえ、アベノミクスなどによって民間企業の設備投資も復活。建築事業も再び日の目を見るようになってきた。
今年夏以降は、東京五輪関連の受注が本格化すると見られ、企業の発注も「過去数年間、投資を控えていた企業が、再び計画するようになっている」(業界関係者)ため、建設需要全体は高い水準で推移すると見られている。かつて、激減する工事を巡って、安値受注、つまりダンピングを繰り返しては自らの首を締めてきたゼネコン業界だが、今や完全に状況が変わったのだ。
では、14年度以降もイケイケなのかと思いきや、決してそうではない。長年に渡って、減り続ける工事量に合わせて設備や職人を減らしてきており、いきなり仕事が増えても、対応が難しいからだ。
そのため、14年度の受注高予想は、各社とも今期より減少するとしている。「熟練工の確保状況などを考えると、増やせない状況」(桜井滋之・大成建設常務)なのだ。ゼネコンの受注を絞る姿勢は、官公庁や企業の発注工事の遅延や入札不調にもつながっており、日本経済全体にも影響を及ぼし始めている。
人手不足は当然ながら、人件費アップにもつながっている。ほんの数年前までは「コンビニのアルバイトの方がラクで儲かる」とさえ言われていたものだが、今や人件費はうなぎ上り。職種によってアップ率は異なるが、「既に、これ以上あがってどうするのか、と言いたくなるレベル」(同)。今後も上昇傾向はしばらく続くと見られている。