広告は雑誌の生命線だ。ファッション誌やライフスタイル誌がほぼ全ページフルカラーでありながら600円や700円程度の価格帯で出せているのも、広告と発行部数の多さに支えられているからだ。

 有名ブランドや高級車のきらびやかな広告は、企業イメージを読者に印象づけるだけでなく、当の雑誌にも高級感をまとわせてくれる。だがいまや、YouTube動画でも冒頭に企業CMが流れる時代だ。従来の新聞や雑誌、テレビに迫る勢いでインターネットCMが伸びているし、ビジネスモデルの中で広告をどう位置づけるかについて、多様な考えも出てきている。

 発行部数や広告収入が減って、休刊を余儀なくされる雑誌は日本でも後を絶たないが、米国では珍しいかたちで復活劇を遂げた雑誌がある。インテリア月刊誌(時期によっては隔月刊)「Domino」だ。かつては発行部数100万部を数え、カルト的な人気を集めながらも、リーマンショックによる住宅不況の直撃を受けて2009年、休刊に追い込まれた。

 その「Domino」が昨秋、季刊誌に装いを変えて復刊した。全132ページ中、広告はわずか4ページほど。その代わりとなる収入の柱は、本誌と連動するECサイトだ。本誌で紹介したものをサイトで直接買ってもらう。この新たなビジネスモデルは、未来の雑誌のあり方を示唆するものなのだろうか?

全米トップ100の人気雑誌も広告に多くを依存

 雑誌がいかに広告に依存しているのかについて、ユニークな問題提起をした男性のことがdesigntaxi.comなど各種媒体で紹介されている。女性ファッション誌「Vogue」2013年9月号から広告ページをすべて切除したものを“広告フリー版”と名づけて出品したのだ。

米国版「Vogue」は、なんと広告が3分の2!(「Vogue Japan」は日本独自の編集なので、さすがにここまで広告だらけではない)

「Vogue」誌にとって毎年9月号は特別な号だ。秋物ファッションの新作紹介で広告が多くなり、ページ数も一年間で最大となるからだ。ことに13年9月号は902ページというぶ厚さで、そのうち広告は665ページと過去二番目のボリュームだった。純粋な記事はわずか3割ほどで、広告をカットしたものがいかにスカスカであるかは、写真から一目瞭然だ。