米株価に天井感
囁かれるたびにバブル懸念?
日経平均株価が上昇することに、アベノミクスの評価が反映されていると言われるが、本当のところは米株価の動向次第なのだろう。ダウ株価は、雇用統計の発表後、1万7000ドル台をつけ、リーマンショック前のピーク水準を抜いた。しかし、その勢いは続かずに一旦は下落する展開になっている。
一方、日本株はどうか。グラフに並べた通り、日経平均株価とダウ株価は微妙に連動している(図表1参照)。日経平均株価は、レベル感は異なるが、2012年秋以降はダウの水準を追い駆ける展開になっている。
目下の注目点は、今後、日経平均株価が追いかけるダウが継続的に1万7000ドルの大台を抜いて、さらに上昇していくかどうかである。2014年秋にも、テーパリング(資産買入縮小)が終了すると見込まれる。その後、次なる利上げは、2015年中のどこかになるだろう。
FRBは米経済拡大ペースを見極めてから、慎重にテーパリング後の展開を示唆していくのだろう。その点は、多くの金融関係者がイエレン議長に信頼を置いている。折しも、4、5月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で28.8万人も増えた(4月、5月の当初発表は同数)。
ともに20万人程度の増加予想を大きく上回り、かつインフレ懸念を間近に感じさせない内容だったことが、株価上昇を促した。金融緩和をゆっくりと縮小させれば、雇用拡大ペースが強まって、株価は上昇基調を続ける予想が蓋然性を増したということであろう。
それでも、米株価上昇が1万7000ドルを達成して足踏みしたことは、潜在的な不安を象徴している。