連合国の本質

 話を第2次世界大戦に戻そう。私は30年前、当時の同僚だった防衛大学校の教官らと、『失敗の本質』を世に出した。日本軍の失敗の原因を戦史から追究し、日本軍を組織論から分析したものである。

 日本軍の組織論的な研究は日本の組織に対する教訓を得る結果となり、30年経った今でも売れていることを見れば、日本にとって意味のある研究だったと思っている。しかし、第2次世界大戦当時の世界を大局的に見直してみると、太平洋戦争は戦域の一つに過ぎず、連合国軍から見れば欧州戦線がより重要な位置づけだった。大東亜戦争、太平洋戦争だけを見ていても、あの大戦の全貌は見えてこない。連合国と枢軸国はどのような関係でどのような戦いを行っていたのかを知る必要がある。そうした思いも、『史上最大の決断』を記すことにつながった。

 またしても余談だが、Dデイ70周年を記念して、6月6日に世界各国の元首がフランス・ノルマンディーに集まった。敗戦国であるドイツもメルケル首相が招かれて、当時の戦いを偲んだ。日本の安倍首相はその時、ヨーロッパに滞在していたが、訪ねていたのはかつての同盟国であるイタリアだった。折しも、クリミア半島の併合問題でロシアが国際的な非難を受けている状況だったが、ロシアのプーチン大統領もこの式典に連合国の一員として参加していた。

 こうした欧米の国際社会の姿には、日本からはなかなか理解することができない面がある。(つづく)

 

【最新刊】史上最大の決断

史上最大のプロジェクト
「ノルマンディー上陸作戦」を成功に導いた
賢慮のリーダーシップ


『失敗の本質』から30年。「偉大なる平凡人」にして連合軍の最高指揮官・アイゼンハワー、天才政治家・チャーチル、現場指揮官・パットン……多士済々の知略と努力が「史上最大のプロジェクト」を成功に導いた!

経営学の世界的権威が、20人のリーダーたちが織りなす「史上最大のプロジェクト」成功の軌跡を分析。勝者と敗者それぞれのリーダーは、何を、どのように、判断したのか―― 戦史は、成功の本質失敗の本質も教えてくれる。

野中 郁次郎/荻野 進介:著
定価:本体2200円+税
発行年月: 2014年5月 

最新情報はこちら ⇒ Facebook「史上最大の決断」