目的は「正解」を出すことではない
難しすぎるマレーシアの小1の宿題

 ベン図の概念自体を入学したての小学1年生に理解させることはなかなか大変だと思うが、それ以上に問題が難しい。

 櫛切りにしたスイカ、1個のリンゴ、ひと房のブドウ、まるい皿に乗ったサラダ、それぞれ「丸い食べ物」というカテゴリに入るのかどうか。見方によって結論は変わるだろう。確固たる正解は「ない」のだ。

 この宿題の狙いは、正解を出すことにあるのではない。自分が正解だと思う結論を導き出すための論理性と視点を獲得し、それを表現することにある。そのためには、この宿題はまず親と話し合って進めなくてはならない。親とのコミュニケーションを通じて、自分の考え方と結論は何かを自覚させるのだ。

 さらにその後、クラスに持ち帰って、クラスメートと話し合って、自分の考えと比較させる。そして最終的には、自分の結論とその背景にある論理、他者の結論と背景にある論理の両方を理解し、その差を受け入れ、両者をリスペクトすることを学ぶのが目的だ。

 ただ、問題はこの4つだけではない。実際には、ボール、ポップコーン、ヨーヨー、ドーナツなど、比較的簡単なものも列挙されている。シンプルな論理思考も当然試される。

 ちなみにこの宿題の科目名は、「算数」ではない。「Unit of Inquiry」という。日本語では「問いかけの授業」という意味になるだろうか。日本人には「科目」として馴染みのないものだ。

 その日は前述の他にもう1問、同様の問題があった。ベン図には「動物」「飛ぶもの」がある。重なっている部分は「飛ぶ動物」ということになる。

 候補は、ロケット、自動車、シカ、犬といった簡単なものから、ペンギンや七面鳥や蜂といったちょっと頭をひねるものがあった。前述のものほど難しくはないが、これも親と話し合って回答を「創っていく」課題だ。