セールスフォースの次の標的は<br />「ビジネスアナリティクス」世界一<br />――「dreamforce 2014」現地レポート(1)ドリームフォースの開催を顧客や関係者に感謝するセールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO Photo:DOL

 10月13日~16日、米国サンフランシスコのイベント会場「モスコーニセンター」で、企業向けクラウドサービス企業であるセールスフォース・ドットコムの年次イベント「ドリームフォース2014(dreamforce2014)」が開催されている。

 例年、派手な演出と豪華なゲストで話題を呼ぶ本イベントは、今年も開催2日目の14日午前、ヒラリー・クリントン前米国国務長官がゲスト講演し、教育改革の重要性ついて語った。

 また、同日午後に行われたマーク・ベニオフCEOの基調講演では、スピーチの合間に特設ステージでビーチ・ボーイズ(本物!)の復刻ライブ演奏が会場を盛り上げるなど、例年以上に力の入った内容だった。

 企業向けITのプレゼンの途中に、超ビッグアーチストの生バンド演奏が聴けるノリのよさは、この会社の文化をまさに象徴している。だが、これだけの舞台装置を見てしまうと、参加者の関心は自然と「来年のゲストは誰?」に向く。準備する人たちも苦労するだろうなと、余計な心配をしてしまう。

今年のテーマは
「データ革命」

 さて、セールスフォースにとって1年で最も重要なイベントであるドリームフォースでは、毎年主力製品の大きな発表が行われる。昨年はモバイルアプリケーションの統一プラットフォーム「セールスフォース1」をこの場で発表し、モバイルへのシフトを鮮明にした。

 今年発表した新たな戦略は「データ分析(アナリティクス)」だ。同社は1999年の創業以来、CRM(顧客情報管理)のクラウドサービスを主軸に急成長してきた企業だが、「15年前にCRM市場に与えた変革と同じ変革を、アナリティクス市場に与える」(ベニオフCEO)というほどの大きなプロダクトだという。開発には丸2年を要し、200名を超えるエンジニアが関わった。

 アナリティクスとは、企業が蓄積している地域別の在庫、販売数量などのさまざまな業務データ、顧客データ、それらと天候や経済動向など外部のデータを組み合わせて、仮説を立て、検証していく作業だ。

 業務分析に必要なデータは、従来は3ヵ月や月次のデータを使用してきたが、今日の「ビッグデータ」時代では、業種によっては1時間単位でデータがどんどん蓄積されている。

 さらに業務上の定型化されたデータ以外にも、ソーシャルメディアやセンサーなどが吐き出すランダムな形式のデータ(非構造化データ)も、刻々と積み上がっている。「企業が蓄えているすべてのデータ量の80%は、過去2年間に蓄積されたものだ」(ベニオフCEO)という言葉の通り、データ量は爆発的に増え続けている。

 しかし、そのデータを企業が分析に回すには、2つの大きな壁があった。