靖国神社参拝問題は、サンフランシスコ平和条約の根本に関わることです。この認識次第では、国際的にも日本は不利な立場になる可能性がありますね。それを差し置いて、「会うべきだ」と日本は中国側に言っているから、中国側としては「何を言っているんだ」となってしまう。

 日本はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏をしました。ということは、歴史認識問題は、単なる国内問題ではないのです。国際的な認識となっている。海を越えたんですね。サンフランシスコ平和条約で連合国を相手に条約を結びました。東京裁判で裁かれたA級戦犯についても日本は受け入れている。これを今になって覆すことはできません。

 つまり、靖国神社に合祀されているA級戦犯に対する認識というのは、連合国を相手に日本も合意した認識であるということです。これを覆すと、他の国々は「日本は政府が変わったら、あの条約で合意したことはナシよ」と言うのか、と言われてしまう。

――尖閣諸島については凍結とおっしゃいましたが、靖国神社参拝問題については、どう処理するのでしょうか。

 安倍首相は、靖国神社参拝については個人でやってください、ということです。首相としては、「サンフランシスコ平和条約を遵守し、これまで通り、平和国家として日本は歩んでいく」と宣言するしかない。靖国神社参拝については、個人の問題だから述べる必要はない、と言えばいいのです。

 日本の政府は「戦争犯罪人の名誉の回復が……」とか「侵略の定義が……」とか言っていると、日本の政治も国際的に評価を受けないでしょうね。「いったい、日本は何を言っているんだ、ポツダム宣言を受諾したし、サンフランシスコ平和条約に署名しただろう」と言われてしまいますよ。

 安倍さんもこれまで参拝したり、いろいろな発言をされていますけど、それが両国民にとってプラスになっているならいいですよ。ならないから、国民は困っているんだ。そろそろいい加減にしてくださいと言わなければいけない。

――中国側は安倍首相が靖国神社に参拝しないという言質を求めているとも言われています。

 総理としては参拝しないというようなニュアンスを出すってことです。両国の国民感情にも配慮して、4つの日中共同声明に則って、両国の将来のことを考えて判断したいと思うというような趣旨を伝えるしかいんじゃないでしょうか。

 もう何度も繰り返しているけど、歴史認識問題と尖閣諸島の問題の2つが問題で、この問題は解決なんてできないんです。だから、4つの日中共同声明を確認するという、それしか道はないんです。