セールスフォース・ドットコム日本法人の小出伸一・代表取締役会長兼CEO(「ドリームフォース2014」会場にて) Photo:DOL

 10月13日~16日、米国サンフランシスコで開催されたセールスフォース・ドットコムの年次イベント「ドリームフォース2014(dreamforce2014)」は、登録者数15万人以上、ネット動画視聴者数500万人以上と過去最大の動員数を記録した。期間中にサンフランシスコ市周辺にもたらされた経済効果は100億円を超えたという。日本からの来場者は370人を数えた。

 今年4月、セールスフォース日本法人の会長兼CEOに就任したばかりの小出伸一氏は、今回はじめてドリームフォースに参加した。就任から約半年で、すでに日本の顧客やパートナー企業100社以上の幹部と直接会っているという小出会長は、ドリームフォースの会場でも顧客企業の案内や米国本社とのミーティングなどで分刻みのスケジュールをこなしていた。

 日本IBM、HP等の大手IT企業で経営陣として活躍し、ITの分野ではソフトもハードも知り尽くしている小出会長の目に、初めてのドリームフォースはどう映ったのだろうか。

機能紹介より
事例紹介に力点

「これまで私が経験した大手ITベンダーのイベントと決定的に違うと感じるのは、本当の意味で『双方向』だということ。新製品、新サービスをこちらから一方的にプレゼンするのでなく、最初からユーザー企業の活用事例やパートナー企業の取り組みを用意している。サービスお披露目の場で、同時に事例紹介するわけだから、見ている人は非常にわかりやすい」

ドリームフォースの講演では、導入企業やパートナー企業の担当者が登場することがお約束のパターンとなっている

 確かに、ドリームフォースではCRMやマーケティングなど、B2B各製品の新機能紹介が相次ぐが、「キーノート(基調講演)」という名前でも、講演時間の半分程度は、実際にその機能を導入している企業のビジネスを紹介するビデオと、その企業の担当者とセールスフォース側の掛け合いに費やされる。マーク・ベニオフCEOも、今回のドリームフォースの基調講演で自社のサービスを「カスタマー・サクセス・プラットフォーム(顧客の成功ための基盤)」と言い切ったほどだ。

 小出会長によれば、日本法人の営業担当者は、このスタイルを踏襲した“ドリームフォース的営業”を行っているのだそうだ。

「ドリームフォースのノウハウは、セールスの現場で生かされている。つまり、お客様の課題をセールスフォースのツールを使ってどうやって解決できるかを、疑似体験していただくことに力をいれている。当然、資料は紙だけでなく、動画を用意したり、実際に動くサンプルのアプリケーションを作ってから商談に入っている」