大きな病気やケガをしたときのお金の心配事として、手術や入院にかかる医療費とともに上げられるのが、仕事を休んでいる間の生活費だ。
たしかに、働かなければ会社から給料はもらえない。
しかし、会社員の場合は、給料が出ない代わりに健康保険から「傷病手当金」という給付が受けられることになっており、病気やケガで仕事を休んでいる間も収入がゼロになる心配はない。とてもありがたい制度だ。
ところが、この制度を悪用して、不正請求する輩もいるから困ったものだ。給付を行う協会けんぽや健康保険組合などが、不正が疑われる傷病手当金請求の防止策を数年前から訴えており、この10月6日に厚生労働省が制度の見直し案を発表した。
時代とともに給付の充実が
図られてきた傷病手当金
前述したように、傷病手当金は、会社員が病気やケガをして仕事を休んで、給料がもらえなかったり、減額されたりしたときに、その代わりとして健康保険が現金によって一定の所得保障を行うものだ。
会社員の健康保険が作られた1927年(昭和2年)に、かかった医療費を支払ってくれる「療養の給付」と同時に導入され、長きに渡って病気やケガで仕事を休んでいる会社員とその家族の生活を支え、貧困に陥ることを防いできた。
当初、180日だった給付期間は、1977年(昭和52年)の健康保険法の改正時に1年6ヵ月間に延長。また、給付額も日給の6割から、2007年4月に現行の日給の3分の2に引き上げられ、給付の充実が図られてきた。
現在の傷病手当金の支給要件や内容は次のとおり。