本連載は、今回をもって最終回となる。筆者は連載の前半において、グローバル競争の渦中で岐路に立たされた日本の製造業の「ゲンバ」が抱える課題を詳しく炙り出し、後半においては、「製造業のサービス化」という視点をベースに、O2独自の「Forest Map」を駆使しながら、日本の製造業が進むべき道を示唆してきた。一連の記事を通じて、筆者のメッセージを過不足なく読者諸氏にお伝えすることができたと思う。

 連載最終回では、さらにその先の課題について触れておきたい。それは日本の製造業の関係者全てが、自分たちが戦う市場で勝つことばかりに腐心するのではなく、日本という国を発展させ、さらに世界をリードする原動力となるためにはどうしたらいいのかという意識を、持たなくてはならないということだ。

 日本の製造業には、必ずや世界をリードできる潜在力がある。そして、その力を発揮するために、自らの「使命」を意識しながらビジネスを行う必要がある。使命なきビジネスは、結局自らの事業を成長させることもできない。今回は、筆者がこれまでの連載に込めて来たそうした理念について、述べておきたい。

製造業が直面する社会的コスト
課題先進国として日本の使命

 高度経済成長期において、日本は公害大国であった。水俣病、四日市ぜんそくなどは世界中で報道された。日本の産業発展を支えた鉄鋼の城下町、北九州市は、排煙や排水などの環境汚染に苦しんだ。川と海からは魚が消え、子どもたちはマスクを着用して登校した。

 このとき日本は、産業発展の裏に潜む影を学んだ。製造と廃棄は一体である。「3種の神器」と呼ばれる電化製品が爆発的に普及する一方で増え続けるゴミの島。日本は人類と自然の共創を意識し始めた。

 北九州市も生まれ変わった。ゴミの循環モデルは世界の手本となり、人口増・ゴミ増で悩むアジア各国の自治体が視察に訪れるようになった。北九州市はゴミ循環のノウハウを無償で提供する代わりに、その過程で使われる日本製の機器販売につなげている。双方良しだ。